崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍

本祭

　そうしてやらかしたサニーがみんなから睨まれつつ、三十分延長コースのお説教。
「罰としてお前たちは重い鎧を着て重い武器を持って祭りへ行け！　楽しい楽しいお祭りに行かせてもらえるだけありがたいと思うのじゃっ！」
「え、えぇ～⁉︎」
「そんな殺生な！」
「じゃかましいっ！　オシャレ禁止じゃ！　ダサい無骨な鎧姿で外を練り歩いてこいっ！」
「酷いです！　パワハラですっ！」
「労基に訴えてやるっ！」
「労基ってなんじゃ！」
　最後にレンがそう締めて、ようやく説教が終わった。

　そうして荷物を片付けて、仕方なく鎧に着替えて、いらんことを言ったサニーを全員でボコボコに蹴り飛ばしてから外に出た。
「い、痛い……野蛮です、ニンゲンは野蛮です」
「今回は獣人も混ざってまぁ～す、残念でしたぁ～」
「全く、普段からもうちょっとオシャレな鎧を着とけば良かったな」
「……レザージャケットはカッコいいと思うしいいんじゃないか」
「え、そう？　ジョーがそう言うなら、まぁこれでいいか」
　ジョーに褒められ嬉しそうに頭を掻くナガレ。
「私なんて革鎧に白装束ですよっ！　どこのシスターですか私はっ」
「あー、ケンガっちのローブいーなー。カジュアルでカッコいいじゃーん」
「そうか？　ふっふっふ、俺様の衣装は機能性とデザイン性を重視しているからな」
　古代文字がビッシリ入ったローブは、正直奇抜なファッションでそこそこイカしている。


　話を戻して、外ではほとんどの屋台がオープンしていた。ここは似たような宿が立ち並ぶ旅人や旅行客向けの宿泊施設が多い大通りで、日当たりも良く明るいタイガスの中でも比較的人通りの多いエリアだ。
「うわぁ、すっげぇ……！」
「すごいですね！　まるで御伽噺みたいなお祭りですよ！」
「そうか、今日は祭の当日か！」
　目の前の光景に感動する一同。どさくさに紛れて普段着姿のアルクルは腕を組んで冷静な素振りを見せるも、口元の笑みを隠せていない。
　空には無数の白い光の玉が、蛍の大群みたいに浮かび上がっていた。所々にヨビカリ草の美しい垣根があり、その色とりどりの光が足元や壁を照らしている。
　そしてやっぱり肝心なのは……道路を埋め尽くすほどに並んだ屋台！
　ここは食べ物のエリアらしく、ケバブにシュラスコにタコスにフォーにパエリアにサムギョプサルまでたくさんの屋台があった。文字通りのグルメ横丁だ！　だが道路のあちこちには池の水が入った大きく重い金属製タンクや水瓶があり、火災などのトラブルにも対策している。