540 / 739
第十九話 禍のエースストライカー
しょっ引いた相手
しおりを挟む
「ああ、それならオレがちょっとだけ知ってるよ。かくかくしかじかで……」
ナガレはこれまでの事情を説明した。
「……そうか、そんなことがあったのか」
「ドルーシバの皆さんは何をしていらっしゃったんですか?」
「アタシたちはリーダーの指示で、村のあちこちで待機してたんだ。もし何かあっても独立して動けるようにね。そしたらホラ!」
そう言って、後ろにいる冒険者たち、その足元を指さした。そこには全身真っ黒なローブを着た男女が全身グルグルに縛られている。引きずられてきたので泥だらけだ。
「こんな夜中に外から村へ入ってくる、怪しい奴をとっ捕まえた」
「いやなにしてんだよ! そんなこと決めつけて私人逮捕したらダメだろ!」
ナガレのツッコミに、赤髪ポニテ冒険者は慌てて首を振る。
「いやいや! アタシが声掛けたら急に剣抜いて襲い掛かって来たんだ! そんな奴どう考えてもあやしいだろ。駐屯所に突き出してやろうと思ったんだけどさぁ」
「ああ、そういう事ですか……」
この村の騎士や兵士は全員この屋敷に集合している。それでここまで引きずって来たのだろう。
仰向けになって唸るローブ姿の男女。するとジョーが足で蹴っ飛ばし顔をみんなに見せた。
「うぐ!」
「……貴様、何者だ。答えなければお前の五感を奪っていく。まずは指だ。嘘は二十回までつける。次は鼻、その次は目……」
聞いていて背筋が凍るような脅し文句をかけるジョー。だが男は何も言わない。
「……そうか」
ザシュッ!
「うがっ!」
「わーっ!?」
なんとジョーは躊躇なくダガーを振り下ろし、黒ローブ男の右手小指を切断! ナガレたちは一斉にざざっと引いた。
「じょ、ジョーーーーっ! おお、お前なにしてんだぁっ!」
「なんてヒドイことを! さすがにやりすぎじゃないですか!」
ナガレたちのブーイングも全く意に介さず、むしろ男に血に濡れたダガーを突き付けた。
「うが、ぎゃああ……」
「さあ、まずは一本だ。……貴様、何者だ。そのローブを見ているとムカつくんだよ」
「はぁっ、がぁぁぁぁ……」
こんなに殺意むき出しのジョーは、ナガレたちも初めて見た。だが男はまだ答えない。ジョーは再びダガーを振り上げ……。
「……ヒヒヒッ!」
「……?」
その時、黒ローブの女が急に笑い出した。ジョーは手を止め……ずにそのまま薬指を切断してからそちらへ向き直る。
ザシュッ!
「ぐあぁぁぁぁ!」
「……何がおかしい。お前も仲間と同じ目に遭いたいか」
ナイフのように鋭い眼光でにらみつけるジョー。あふれ出る殺気で彼の周囲が揺らめいているように見える。
ナガレはこれまでの事情を説明した。
「……そうか、そんなことがあったのか」
「ドルーシバの皆さんは何をしていらっしゃったんですか?」
「アタシたちはリーダーの指示で、村のあちこちで待機してたんだ。もし何かあっても独立して動けるようにね。そしたらホラ!」
そう言って、後ろにいる冒険者たち、その足元を指さした。そこには全身真っ黒なローブを着た男女が全身グルグルに縛られている。引きずられてきたので泥だらけだ。
「こんな夜中に外から村へ入ってくる、怪しい奴をとっ捕まえた」
「いやなにしてんだよ! そんなこと決めつけて私人逮捕したらダメだろ!」
ナガレのツッコミに、赤髪ポニテ冒険者は慌てて首を振る。
「いやいや! アタシが声掛けたら急に剣抜いて襲い掛かって来たんだ! そんな奴どう考えてもあやしいだろ。駐屯所に突き出してやろうと思ったんだけどさぁ」
「ああ、そういう事ですか……」
この村の騎士や兵士は全員この屋敷に集合している。それでここまで引きずって来たのだろう。
仰向けになって唸るローブ姿の男女。するとジョーが足で蹴っ飛ばし顔をみんなに見せた。
「うぐ!」
「……貴様、何者だ。答えなければお前の五感を奪っていく。まずは指だ。嘘は二十回までつける。次は鼻、その次は目……」
聞いていて背筋が凍るような脅し文句をかけるジョー。だが男は何も言わない。
「……そうか」
ザシュッ!
「うがっ!」
「わーっ!?」
なんとジョーは躊躇なくダガーを振り下ろし、黒ローブ男の右手小指を切断! ナガレたちは一斉にざざっと引いた。
「じょ、ジョーーーーっ! おお、お前なにしてんだぁっ!」
「なんてヒドイことを! さすがにやりすぎじゃないですか!」
ナガレたちのブーイングも全く意に介さず、むしろ男に血に濡れたダガーを突き付けた。
「うが、ぎゃああ……」
「さあ、まずは一本だ。……貴様、何者だ。そのローブを見ているとムカつくんだよ」
「はぁっ、がぁぁぁぁ……」
こんなに殺意むき出しのジョーは、ナガレたちも初めて見た。だが男はまだ答えない。ジョーは再びダガーを振り上げ……。
「……ヒヒヒッ!」
「……?」
その時、黒ローブの女が急に笑い出した。ジョーは手を止め……ずにそのまま薬指を切断してからそちらへ向き直る。
ザシュッ!
「ぐあぁぁぁぁ!」
「……何がおかしい。お前も仲間と同じ目に遭いたいか」
ナイフのように鋭い眼光でにらみつけるジョー。あふれ出る殺気で彼の周囲が揺らめいているように見える。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
聖人様は自重せずに人生を楽しみます!
紫南
ファンタジー
前世で多くの国々の王さえも頼りにし、慕われていた教皇だったキリアルートは、神として迎えられる前に、人としての最後の人生を与えられて転生した。
人生を楽しむためにも、少しでも楽に、その力を発揮するためにもと生まれる場所を神が選んだはずだったのだが、早々に送られたのは問題の絶えない辺境の地だった。これは神にも予想できなかったようだ。
そこで前世からの性か、周りが直面する問題を解決していく。
助けてくれるのは、情報通で特異技能を持つ霊達や従魔達だ。キリアルートの役に立とうと時に暴走する彼らに振り回されながらも楽しんだり、当たり前のように前世からの能力を使うキリアルートに、お供達が『ちょっと待て』と言いながら、世界を見聞する。
裏方として人々を支える生き方をしてきた聖人様は、今生では人々の先頭に立って駆け抜けて行く!
『好きに生きろと言われたからには目一杯今生を楽しみます!』
ちょっと腹黒なところもある元聖人様が、お供達と好き勝手にやって、周りを驚かせながらも世界を席巻していきます!
未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)
京衛武百十
ファンタジー
俺の名は錬是(れんぜ)。開拓や開発に適した惑星を探す惑星ハンターだ。
だが、宇宙船の故障である未開の惑星に不時着。宇宙船の頭脳体でもあるメイトギアのエレクシアYM10と共にサバイバル生活をすることになった。
と言っても、メイトギアのエレクシアYM10がいれば身の回りの世話は完璧にしてくれるし食料だってエレクシアが確保してくれるしで、存外、快適な生活をしてる。
しかもこの惑星、どうやらかつて人間がいたらしく、その成れの果てなのか何なのか、やけに人間っぽいクリーチャーが多数生息してたんだ。
地球人以外の知的生命体、しかも人類らしいものがいた惑星となれば歴史に残る大発見なんだが、いかんせん帰る当てもない俺は、そこのクリーチャー達と仲良くなることで残りの人生を楽しむことにしたのだった。
筆者より。
なろうで連載中の「未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます」に若干の手直しを加えたVer.02として連載します。
なお、連載も長くなりましたが、第五章の「幸せ」までで錬是を主人公とした物語自体はいったん完結しています。それ以降は<錬是視点の別の物語>と捉えていただいても間違いではないでしょう。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる