崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第十八話 悪夢の遠吠え

報復の相手

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「それで、オメーは何を調べてたんだ? 教えてくれよ」
「ああ。……コレを見てくれ」
 ジョーは先ほどの手帳を渡した。ナガレはそれを受け取って、パラパラとページをめくる。
「どれどれ。……なんだ? 何かの地図ばっかりだぞ??」
 どのページにも、地図ばっかりだった。直接書き込んだ手書きのものもあれば、他の精巧なものを切り抜いて貼り付けたものもある。
「……お? これは……」
 その中でナガレは『ゼルダン』という町の地図に目をつけた。ここはナガレの故郷の近くにある、コナキ地方の町だ。彼も何度か妹と一緒に行ったことがある。
「……どうした?」
「コレ、ウチの近所だよ。懐かしいなぁ。妹と劇場で演劇を見たんだ。この地図やけに正確だな。ジョーが書いたのか?」
「……いや、書いたのは俺じゃない。脅して書かせた」
(聞くんじゃなかった……)
 軽はずみな質問を後悔するナガレ。ノスタルジーな気分が吹っ飛んだ。
 窓からの光も少なく、部屋は薄暗い。それも相待ってなんだか不気味な雰囲気だ。
「ん、なんだこの赤い印」
 ナガレはふと地図を見て、一箇所に赤いバツ印が書かれていることに気がついた。色々と雑な手書きの地図なので具体的な位置は分からない。
「……ああ、それは死体を埋めたところだ。誰にも見られていない」
(……なんでこんなことばっかり聞いちゃうんだろう)
 もしかして自分、今メチャクチャ危険な状況なんじゃないだろうか。ジョーが「次はお前だ、ナガレ。ここでくたばれ!」とか言ってこないだろうか……。

「……もうなんとなく察しているだろうが、これは俺の家族を殺した奴らの……復讐の記録だ」
 そんなことを考えて黙っているナガレを見て、ジョーはようやく手帳のことを話してくれた。
「……フッ、なんの因果だろうな。俺はどうやらコレに呪われているようだ」
「え、どういう意味だ?」
 言葉の意味がわからずキョトンとするナガレ。すると……ジョーは黙ってこちらを見つめた。
「え、な、なんだよ」
「……そういえば、俺が何を憎み何に復讐したかずっと言っていなかった。……だがお前はもう、その名前を知っていたんだな」
 ジョーは深く息を吐く。落ち着こうとしているようだが……。



「……これも察していたんじゃないか? …………俺の家族を殺したのは、あのイビル教団だってことを」

「え……!」
 さも当然のように言われた言葉に、ナガレは絶句した。後ずさった拍子に棚にぶつかって、タネが入った袋が地面に落ちる。
 ドサッ……。
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