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第十六話 進化の道
チーム・ドルーシバ
しおりを挟む「えーっ!」
驚いたのはナガレではない。その会話を横で聞いていた、普段着姿のフローレンスたちだ。
「ん、お前は……そうか、このギルドに入ったんだな。ノッポのお前によく似合う服装じゃねーか」
ケンガはここでようやくフローレンスに反応した。
「はい、私はもうナガレさんたちの仲間です」
「そっか……まぁ、そんなことはどうでもいい。だがフーセンガム、元のチームはどうしたんだ」
「私、そんな名前じゃないですって! もう原型残ってない! あなたの心配も余計なお世話ですっ」
「怒るなよそんなに。オレとオメーの仲じゃねえか」
「ええ、私とケンガの仲です。……犬猿の仲ね!」
「チッ!」
ハイペースの口喧嘩の末、お互い「つーん!」とそっぽを向いた。
……すると、ケンガが紹介したチーム『ドルーシバ』の一人が前に進み出た。
紺色のミディアムショートで白肌の、優しい目つきの大人びたハンサムな青年。銀色に光る胸当て、鉄小手、脛当てとブーツに、赤いマントをつけたカッコいい鎧姿だ。
「こらこら。止めないか、ケンガ。昔の仲間なんだろ? もっと仲良くしなきゃ。友達は大切だぞ」
「止めないでくれよリーダー。コイツはそんなんじゃ……」
「それでも、そちらのレディーは友達なんだろう?」
リーダーと呼ばれた彼は、手でフローレンス……ではなくナガレを指し示した。
「……あのよ、リーダー」
「なんだい?」
「アイツ、男だぞ。二十歳だぞ」
「……は、はっはっは。ケンガは冗談がうまいなあ。こんな可愛い女の子なのにそんなワケ……」
「ナガレ。ズボンを脱げ」
「ふっざけんな!」
これにはナガレも激昂して、つかつか歩み寄りギロギロとガンを飛ばす。リーダーは「も、申し訳ない。その様子じゃ本当だったのか」困ったように頭を掻いて謝罪した。
「褒め言葉のつもりで言ったんだが、傷ついたのなら僕が悪い。すまなかった。僕はマックィーン・へフリー。冒険者パーティ『ドルーシバ』のリーダーをやらせてもらってる。ちなみにAランク冒険者だよ」
「……。ま、そういうことにしとくよ。オレはナガレ・ウエスト。まだまだCランクの冒険者さ」
誠意を込めて謝られたら、後腐れなく許すのが大人というものだ。ナガレとマックィーンは握手を交わして和解した。
「ところでウエストさん、顔色が悪いけど大丈夫かい?」
「ああ、いろいろあって最近寝不足で……」
「ホントかい? 冒険者にとって体調不良は大敵だ。何か悩みがあるなら相談に乗るよ」
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