崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第十六話 進化の道

帰ってきてしまったドラゴン

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 今回は鎧姿ではなく、灰色の長ズボンにシャツとベストに真っ黒なロングコートの外套姿だった。だが洋服のあちこちに、鎧の役割を果たす金属プレートが見える。きっと目に見えない部分にも、たくさん埋め込まれているはずだ。
 マズルの尖った口からは、鋭い牙が覗いている。左目付近には剣で斬られたような、なぜか真っ白な傷跡があった。
「何しにきたのじゃ、マッシバー。天下のラグナロクも今日ばかりはお休みか?」 
「ケッ、知った口を聞きやがる。なら俺がここに来た理由も、なんとなく察してるんじゃねえのか?」
「……笑いに来たって言うことか」
「せいかぁい……アルクルは飲み込みがいいなぁ」
 ニタァ……と嫌味ったらしく笑うマッシバー。縦に長い瞳孔を器用に細めている。
「カーイセインよりお前の方がマスターに向いてるぜ。歳食ってるだけのアマは、早く王都に帰るんだな」
「くっ……おのれ、言わせておけば……」
 歯をギリギリと食いしばるレン。しかしナガレはふと違和感を覚える。
(マスターは王都、つまりエンペリオン地方のアルファダム出身だったのか。……あれ、どうしてマッシバーはそれを? オレですら知らないのに。それにアルクルがマスターになるって……?)
 振り返ってみるほど、疑問は増えていく。……と、ここでマッシバーはナガレの方を見た。
「おいクソザコ。そろそろ武器しまえよ、てめえから襲って来なけりゃ、俺だってケンカしに来た訳じゃねえよ」
「ふん、笑いに来たのにケンカは嫌なのか。……嫌なヤツだな、お前」
「ヘッ、強くなるには相手を倒す必要がある。そして強い相手を倒すためには、工夫をしねえとな? 不意打ちとか、相手の苦手な状況を作るとかな。強くなる過程で、嫌なヤツになっちまうのは仕方ないことなんだよ」
 嫌味ったらしい上から目線で見てくるマッシバー。ナガレもそこまで身長が低いわけではないが、それでも二メートル超えの巨体から見下されると威圧感がすごい。だがナガレは一切怯まず、むしろマッシバーをキッとした目で睨み返した。
「……おい、マッシバー。お前には一つ言っとかなきゃならないことがあるんだ」
「……あん? なんだよ、どうせしょうもねえことなんだろうが」
 突然ナガレにそう言われて、マッシバーは訝しげな顔をして腕を組んだ。聞く気になったのなら、何も遠慮はいらない!


「……マッシバー。お前は正しかった。……オレは弱い。一人じゃ何もできなかった」
「……へ?」「えっ……?」

「…………ほう?」
 てっきりポジティブな言葉が飛び出すと思っていて、レンとアルクルは言葉を失う。マッシバーもちょっとだけ目を見開いた。
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