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第十五話 リトル・ドラゴンスレイヤー
新技特訓!
しおりを挟む「ところでナガレさん。今の技は果たして成功なのですか? 自分に向かってくる技がどうして成功なのでしょう」
本を閉じたサニーが顔を上げて聞いてくる。ナガレは顔だけ向けてニッと笑った。
「ああ! そりゃ……ちょっと貸して。ほらこのページだ」
そしてサニーから本を受け取りパラパラ捲って、あるページを広げてサニー達に見せる。
「このページだ。オレが今練習してんのはココ! 『霊感大波』って言うモンなんだ」
「どれどれ……」
タネツたちも加わって、みんなで読み進める。
『霊感大波(れいかんたいは)。一振りで真空を生み、明鏡止水の境地にてそれをなぞれ。己の心を虚に、ただ一瞬の殺意を込めるべし。放たれた斬撃、敵を切り裂くことも、殴りつけることなき。されど斬撃、敵の魂に呼応しそれを追う。当てれば敵の魂を揺らし、心の弱い敵、これに耐えることなき。殺の境地にて放てば、敵の心揺らし、怒り薄れ、魂を一時に虚(うつろ)とす』
どうやら『霊感大波』と言う技は、遠距離攻撃で敵の『魂』にダメージを与える技らしい。これだけではよく分からないが、最後の方には『怒り薄れ』と書いてあった。
「どう言う意味なのかしらね~、怒り薄れって」
「……えっと、僕は冒険者じゃないし、よく分からないけど……きっと『これをくらった敵は攻撃力が下がる』ってことじゃないのかな……」
「おっ、いいセン行ってそうだな。今度くらって確かめてみるか」
「お父さん、やめて……」
「そんなことより、次の文も興味深いですね」
サニーが細くて綺麗な指で指し示した。先ほどの文にはまだ続きがあったようだ。
『ーーーーなお、霊や怪異の類(たぐい)、この世の存在ならざる物の怪に放てば、使い手の殺意を込めし刃、妖魔を貫き致命打を与えん。この技、亡霊殺しの妙技なり』
「これが本当なら、素晴らしい効果です。ゴースト系の敵には、基本的に物理攻撃が効きません。かと言って魔法防御も高く、半端な魔法は全く効きません。だからゴースト退治にはあらかじめアイテムを準備しておくものなのですが……」
熱弁するサニー。顔にはほとんど出さないが、すごいスピードで喋っている。長年生きてきたエルフでも、初めて知ったのかもしれない。
パシッ!
「は、はい、まぁこの通りさ。それじゃあ練習に戻ろうっと。ターショ君、気になるなら見てていいよ!」
このままだとサニーにネコババされそうなので、慌てて『石猿流 棒術之巻』を取り上げるナガレ。とりあえずターショに渡して、自分は特訓に戻っていく。
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