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第十四話 女王への叛逆
今日のヒーロー
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「は……はいっ!」
ベアンもらしくない緊張っぷり。しかし差し出された手をぎゅっと握り、固い握手を交わした。
「これからも、ぜひ励んで欲しい。頼んだよ」
「はひっ!」
「い、いーなぁパイセン……私もクリフ様と握手したいッス……」
「アホ、無粋なこと言うんやない……」
(……嬉しい。……みんなに認められるのも、当然嬉しいけど……ナガレさんが認めてくれたのは、もっと嬉しい……)
フローレンスは胸に手を当てぎゅっと握りしめた。嬉しさで顔がニヤケそうになるのを、口の中を噛んで必死に押し留めた。
「アイツらがクイーンスライムを倒したんだ!」
「すごいぜ! ラストハーレムズにあんな冒険者がいたなんて!」
「これは一軍確実ね! 今のうちに推しにしとかなきゃ!」
「ラストハーレムズ、ばんざーい!」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ギルドマスターに認められた、新たなニューホープの登場だ。周囲の冒険者たちも一気に湧き立った!
「あの、マスター待ってください!」
「……ん、どうしたんだい?」
「あーしらはほとんどクイーンスライムに敵いませんでした。……でも、タネツさんたち助っ人の冒険者や、あーしの頼れる後輩たちが頑張ってくれたからです」
ベアンは緊張しつつ、はっきりとそう伝えた。仲間の活躍をしっかり報告するのは、さすがリーダーといえる。
「……そうだったのかい?」
クリフはナガレたちの方を向いて尋ねた。
……するとナガレたちは、お互いの顔を交互に見合わせて「にへへ」「ききっ!」とニヤニヤ笑っている。
「……?」
不思議そうな顔のクリフ。ナガレはニッと笑って、一歩前に進み出た。
「いや~、何のこと言ってんのか、さっぱり分かんないですよ~」
「え?」
「ええ、我々がたまたま通りかかった時、大きな音がしたからニシーノ宮跡地に入ったら……」
「この人たちが、クイーンスライムを華麗にやっつけてたのよね~」
「俺らは疲れてるベアンさんたちに、持ってる回復薬あげただけだしなぁ~。あ、もしかして気を使って貰っちゃってんのかなぁ~⁉︎」
「む?」「は……はぁ~っ⁉︎」
ピタリと歓声がストップする冒険者たち、キョトンとするクリフ、そして絶句するベアンたち。
「あ、そうそう。最後にトドメを刺したのは、そこのフローレンスって人だったっけぇ? いやあ、バシッと一発でクイーンスライムをかち割って、カッコよかったなぁ~。どうしてラストハーレムズのライブで見れなかったのか不思議なぐらいだよぉ~!」
ベアンもらしくない緊張っぷり。しかし差し出された手をぎゅっと握り、固い握手を交わした。
「これからも、ぜひ励んで欲しい。頼んだよ」
「はひっ!」
「い、いーなぁパイセン……私もクリフ様と握手したいッス……」
「アホ、無粋なこと言うんやない……」
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フローレンスは胸に手を当てぎゅっと握りしめた。嬉しさで顔がニヤケそうになるのを、口の中を噛んで必死に押し留めた。
「アイツらがクイーンスライムを倒したんだ!」
「すごいぜ! ラストハーレムズにあんな冒険者がいたなんて!」
「これは一軍確実ね! 今のうちに推しにしとかなきゃ!」
「ラストハーレムズ、ばんざーい!」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ギルドマスターに認められた、新たなニューホープの登場だ。周囲の冒険者たちも一気に湧き立った!
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「……ん、どうしたんだい?」
「あーしらはほとんどクイーンスライムに敵いませんでした。……でも、タネツさんたち助っ人の冒険者や、あーしの頼れる後輩たちが頑張ってくれたからです」
ベアンは緊張しつつ、はっきりとそう伝えた。仲間の活躍をしっかり報告するのは、さすがリーダーといえる。
「……そうだったのかい?」
クリフはナガレたちの方を向いて尋ねた。
……するとナガレたちは、お互いの顔を交互に見合わせて「にへへ」「ききっ!」とニヤニヤ笑っている。
「……?」
不思議そうな顔のクリフ。ナガレはニッと笑って、一歩前に進み出た。
「いや~、何のこと言ってんのか、さっぱり分かんないですよ~」
「え?」
「ええ、我々がたまたま通りかかった時、大きな音がしたからニシーノ宮跡地に入ったら……」
「この人たちが、クイーンスライムを華麗にやっつけてたのよね~」
「俺らは疲れてるベアンさんたちに、持ってる回復薬あげただけだしなぁ~。あ、もしかして気を使って貰っちゃってんのかなぁ~⁉︎」
「む?」「は……はぁ~っ⁉︎」
ピタリと歓声がストップする冒険者たち、キョトンとするクリフ、そして絶句するベアンたち。
「あ、そうそう。最後にトドメを刺したのは、そこのフローレンスって人だったっけぇ? いやあ、バシッと一発でクイーンスライムをかち割って、カッコよかったなぁ~。どうしてラストハーレムズのライブで見れなかったのか不思議なぐらいだよぉ~!」
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