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第十四話 女王への叛逆
まさかの大ピンチ⁉︎
しおりを挟む「あ…………な、ナガレさぁぁぁぁぁぁんッ!」
フローレンスがショックで目を見開いて絶叫した。ナガレを飲み込んだクイーンスライムは即座に球体からジェル状態へ戻りブレーキをかける。
ゴポゴポ……。
どんどんジェルが出てきて、ナガレの体を飲み込んでいく。凄まじい硬さに身動きが取れない!
(ぐ……! ま、マズい。隙間が密閉されて、空気がほとんど入ってこない!)
すでに体の大半がプラチナのジェルで固められてしまった。こうなっては自力での脱出は不可能だ。
「いけない! すぐ引っ張り出さないと……」
サニーが近づこうとするも、クイーンスライムはそれを許さない。「キィーッ!」と甲高く鳴いて、プラチナのトゲを飛ばしてくる!
「くっ!」
キィーン!
サーベルで弾いたサニーだったが、そのわずかな間でもうナガレの姿が見えなくなってしまった。
(くそ……い、息が……)
顔が覆われてしまい、ほとんど息ができない。たまに隙間から空気が入ってくるが、それもわずかなものである。……元より『闘魂(中)』が発動するほど追い詰められた身では、耐えることなど不可能だった。
(だ、ダメだ、疲れが……も、もう、ダメ……ここまで、か……)
ナガレの視界が徐々に暗くなっていき……そして、すぐに意識を失ってしまった。
「あぁ、どうしようどうしよう……!」
衝撃的な場面を見てしまったフローレンスは、プチパニックを起こして頭を抱える。ヒズマたちを呼び戻すか? いや、その間でもクイーンスライムに逃げられたらナガレは絶対助からない。ならば自分たちで……いや、そうするには奴を球体からジェルに戻す必要がある。今の自分たちにそんな火力は……。サニーは確かに自分より強いが、それでも彼一人に任せてどうにかなる相手とは思えない。
「ナガレさんナガレさんナガレさん……うああっ、わ、私のせいだ! 私が、私がなんとかしていれば……」
「フローレンスさん、しっかりしてください! ……くっ!」
「ブユユ~!」
バシュッ……ゴォォォォッ!
「このっ!」
キィンッ!
またも射出されたプラチナの槍を弾くサニー。動けないフローレンスより優先度を高めたのか、クイーンスライムは集中砲火を浴びせてくる。
「うっ……な、ナガレさん……ごめんなさい……ごめんなさい……!」
フローレンスはついに絶望して、がっくりと膝をついた。自分の情けなさに涙が出てくる。これが自分に降りかかった不幸なら、我慢することも出来ただろう。
……だが、自分を助けようとしたナガレが窮地に陥ってしまった。彼が飲み込まれる瞬間、フローレンスには何も出来なかった。
(私なんて……結局何も出来なかった。何がキラキラしたアイドルでしょうか。……私を信じてくれた仲間も守れないで、輝けるわけがない。私は……結局何者にもなれなかった……!)
自分の不甲斐無さに絶望し、弱さを呪った。
本当にもう、どうしようもないのだろうか……?
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