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第十話 闇を抱える爆音波
驚愕の再会
しおりを挟む……と、ここでまたも「おーーい!」と呼ぶ声が。
(このセリフ、今日はよく聞くな)
ジョーがそっちを向くと、走ってくるケンガがいた。プンスコ怒りながら突撃してくる姿はなんだか滑稽である。
「おっせーぞジョー! 一体何を話してやがる……」
ここでヤケに気落ちしたナガレたちと、それを何とか取り持とうとしているセンチアを見て首を傾げた。
「なんだ? 何の騒ぎだ。俺様にも教えろよ~」
全く周囲が見えていないようだ。説明するのもめんどくさいので、ジョーは黙ってカナたちの方へ顎をしゃくった。
「ったく、相変わらず口数が少ない、ん、だか、ら…………………」
「……ウソ」
そうしてカナと目が合った瞬間、ケンガからニヤけた笑いが引っ込んだ。
「か……カナ⁉︎」
「ケンちゃん⁉︎」
「……カナ? ケンちゃん?」
「なんと、知り合いでしたか!」
思わずジョーとサニーは顔を見合わせた。
「え、ダチなん? なんかあーし困惑しててウケる」
「ああ……コイツが前話してた……なんだか頼りなさそうだが……?」
それだけでなくセンチアとダンケも困惑している上、二人同時に名前を叫んだのでナガレたちも思わずそちらを見てしまう。
「え、何?」
「あら、いつの間に増えてたの~⁉︎」
しかしケンガとカナはそんな周りの様子など関係なく二人で喋っていた。
「か、カナ! お前冒険者になってたのか⁉︎」
「ケンちゃんだって、本当に冒険者だったんだね! 昔は嘘つきで見栄っ張りの『弱虫ケンガ』なんて言われてたのに……」
「お、おい! その話はよせって……」
「昔の事じゃない! うわぁ、懐かしいな~。一緒に遊んだ時のこと思い出すね~」
「なんだよ、二人は知り合いか?」
流石に気になってナガレが聞いてみた。
「べ、別に俺様はこんなヤツ知らねえよ」
「はぁ~っ、まーだウソばっか。ケンちゃんはあたしの幼馴染なんです。あっ、こんにちは! あた……私カナって言います」
「ああ、オレはナガレ・ウエスト。アンタが次の冒険者?」
「それについちゃ、あーしがメイセツしちゃる!」
空気をシラけさせた名誉を挽回するチャンスに飛び込んだのは、イヌ耳のセンチアだった。
「実は本来参加する冒険者のティーパー(パーティ)は他のトコだったん! だけどそいつら急に依頼キャンセルしてどっか行っちゃったんよね~。それでウチのギルマスに、あーしらが代わりに言ってくれって頼まれたんよ」
「へぇ~、そうだったのか」
それなら人数が少なかったのも納得だ。なぜ前の冒険者たちが突然キャンセルしたのか気になるが、とにかく代わりが来てくれてよかった。
「それにしてもケンちゃん、どうしてずーっと村に帰って来なかったの? あたしら地元の冒険者ギルドに着いたのに」
「俺様は……俺はアタカンの、オヤジの苗字に恥ずかしく無い冒険者になりたかった。だから帰らなかったんだ。タイガスでビッグになって、おめーを迎えに行こうと……」
(へぇ~)
(そうなのね~)
(初めて聞いたぞ、そんなの)
二人の会話を、しれっとみんなで聴いている。そういえばケンガの父親は、昔有名な冒険者だった。
「え、それホントだったんだ。今までずっとウソだと思ってた」
「…………」
カナにそう言い放たれてしまい、なんとも言えない表情になるケンガ。まあ正直ナガレたちも、あんまり信じていなかったが。
「今はとっても楽しいよ! ダンケとセンチアみたいな仲間もできたし、ケンちゃんも戻ってこれば良いのに」
「え、それはオレたちが困る!」
あんまりな話に流石のナガレも声を上げた。ただでさえ人が足りて無いバッファロー冒険者ギルドで、新たに抜けられるのはマズイ!
「うわ、ナガレさん? どうしたんですか……」
「今コッチは大変なんだよ。人も金も無くて解散の危機でさ」
そこまで言ったところで……急にダンケがカナの手を取り、ケンガたちから引き離した。
「ほらカナ、ずっと立ち話ばかりではいられまい。ナガレさんたちもやることがあるだろう。俺たちは準備しようじゃないか」
そう言ってカナの首根っこを掴み、ズルズル引っ張って向こうへ歩いて行く。
「あーもうダンケ……ケンちゃん、また後でね!」
その状況でものんきに手を振るカナ。
「ウチもイノヘッドでリターンすんわ! そんじゃバイビー☆」
「…………」
大袈裟に手を振るセンチアと無言で片手を上げるワッカーサも、その後を急いで追いかけた。
カランカラーン!
「……!」
と、ここでワッカーサのベルトポーチから水筒が落ちた。硬い地面にぶつかって大きな音を立てる。
「大丈夫ですか? はい、どうぞ……」
さすがは紳士、サニーがいち早くしゃがんで水筒を取った。それをワッカーサに手渡そうとするが……。
その瞬間、ワッカーサが突然サニーに低い声で耳打ちした。
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