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第十話 闇を抱える爆音波
魔剣士サニー
しおりを挟む「キキッ!」
最初に動いたのはハイランドバットだ。二本の尖った牙を剥き出して、ナガレに噛みついてくる!
「こなくそっ!」
キィン!
素早い攻撃に反応できず、ナガレは普通にガードした。スキル『防御上手』の賜物か、ダメージを受けることなくやり過ごす。
その隙にヒズマが跳躍し、剣をブンッ! と振り下ろした!
「飛ぶ斬撃! はぁぁぁっ!」
パシュン!
放たれた斬撃は、最初こそゆっくり動いていたが、ある地点から急に加速する! スキル『遠距離強化』が乗って、スピードが数倍にもなりハイランドバットを貫いた!
ザシュッ!
「ギィッ! ……ギィーーーーッ!」
一瞬怯んだのも束の間、ハイランドバットはすぐに飛び上がる。そして低空飛行しながら翼を使い、ナガレたちを薙ぎ払おうとする!
ゴォォォォッ!
「そうは行くかよぉっ!」
しかし、タネツが前に立ち塞がった。気合を入れてタワーシールドを構え、思いっきり力を込める。すると六角形の巨大な魔力シールドが出現し、ハイランドバットを押し留めた。スキル『拡散ガード』の力だ!
「今だ! 反撃しろ……」
ダッ!
「な、なんだ⁉︎」
タネツの横を高速で通り抜けた影……それはジョーではなくサニーだ! 抜きっぱなしの剣を携え、ハイランドバットに突っ込んでいく。
「スキル『分析』……見えました! ヤツの弱点は胸です。炎と聖なるエネルギーが苦手です! みなさん、胸を狙って下さい!」
「そ、そんなことまで分かるのか⁉︎」
凄まじいスキルの力に驚くナガレ。するとサニーは跳躍し、ハイランドバットに突っ込み剣を振り上げる。その剣はバチバチ……と白いオーラを纏う!
「魔天ノ斬!」
ザシュッ……ドォォォォン!
「ギィーーッ⁉︎」
白き聖属性を帯びた剣は、ハイランドバットの胸を貫いた!
ドガァン!
あの巨体が思いっきりのけ反って、そのまま地面に墜落する。そう思うのも束の間、サニーがさらに接近する!
「みなさん! ここは私に任せてくださいっ」
「ギ……チチチッ! ギギギッ!」
ハイランドバットも負けっぱなしではいられない。素早く飛び上がり、低空飛行でサニーを翼で引っ叩こうとする。しかし華麗なスライディングでこれを回避、今度は背中に同じ技だ!
「魔天ノ斬!」
ザシュッ!
「ギギィッ⁉︎」
しかし、今度は怯まなかった。弱点属性の攻撃を意地で耐え、回転してサニーを吹き飛ばそうとする!
「あ、危ない!」
ナガレが飛び出そうとするが……。
ダンッ!
サニーは見事なバク転で、曲芸師のように回避する。そのままハイランドバットと、たった一人で激しく撃ち合い始めた!
ドガッ! バキィッ! シャキーン!
むやみやたらに暴れ回るハイランドバットだが、その噛みつきも引っ掻きも羽攻撃も、サニーにはカスリもしない。それどころか反撃をくらい、どんどん傷が増えている!
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