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第七話 剣を手にしたスナイパー

特訓の日々!

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~☆~☆~☆~☆~☆~

 その日から、ヒズマたちの激しい特訓が始まった!
「今日はマチェーテを持ってきました! さあ投げてください」
 ある日ナガレが差し出したのは、割と大きめの手斧。
「け、結構重いわ……そりゃ! ……って、あーーっ!?」
 ヒュンヒュンヒュン!
「ねーちゃん危ねえ!」
「ぎょえええええええええ!」

「これならどうっすか! コウヨウ地方の暗器『シュリケン』です!」
 次の日ナガレが差し出したのは、四方に刃が飛び出した平たい鉄板のようなもの。
「これなら投げやすそうね。よーっし、だりゃあ……痛ぁっ!」
「……ヒズマさん! 持ち方が違います! それはこうして……」
「ほら、ジョーをマネしてやってみましょ……ってジョー!? いつからそこに!?」

「……あのナガレ君? こ、これは一体……?」
 その次の日ナガレが差し出したのは、中央に大きな穴が開いた金属の輪っか。
「いや、この前ギン爺に教えてもらったんすけど……『チャクラム』っていうらしいです……」
「これどうやって使うの~……? 穴に指入れてクルクル回すのかしら~?」
「いや違うと思います。腕にはめて殴りつけるんじゃ?」
「えーっ? 盾みたいに構えるんじゃないの?」
「バカだなねーちゃん。刃を掴んで相手にパンチするに決まってらぁ」

「ぜ、全員違う……」

 ……こんな感じに悪戦苦闘しながら、自分に合うものを探していくヒズマ。それをいつものメンバーが手助けしている……タネツを除いて。
「ねえナガレ君。タネツは最近どうしたの~? ギルドですら見ないわよ~」
「ああ、タネツさんは最近ターショ君を付きっきりで世話してるみたいです。クエストなんかしてる場合じゃない、特訓もきっと合流するからしばらく離脱にしてくれ……って言ってました」
「ああ、この前話してた子のことね~」
 そんな話を続けていると、ふとジョーがヒズマの肩を叩いた。
「……ヒズマさん。ちょっといいですか」
「あらジョー君? あなたが話しかけてくるなんて、なんだか久しぶりね~。どうしたの~?」
「……詳しい事情をナガレから聞きました。『遠距離強化』のスキルを活かしたいということですが……もしかしたら、おススメの技があるかもしれません」
「え、ほ、本当~!?」
「……はい。俺なら教えられるかもしれません」


 それから数週間が過ぎたのち……。
 ヒズマは何故か、剣を振っていた。
「はぁはぁ……っ、こ、これでーっ!」
 ブンッ……ビュオォォォッ!
「うわーっ⁉︎」
 しかしただ剣を振り回すだけではなかった。渾身の力で振り下ろすたび、離れた場所のナガレまで届く風圧が生まれていた!
「だ、ダメ……こんなもんじゃ……」
 毎日数時間もひたすら剣を素振りして風を起こす。それの繰り返しはただただキツく辛い。腕は痛いし、転んだりつまずいたりして傷だらけだ。
 だが、ヒズマはそれでも立ち上がる。
「今のすごかったですよ! その調子っす!」
「……いい感じでした。的をよく見てもっとコンパクトに振ってみましょう。」
 ナガレが声援を、ジョーがアドバイスをくれる。それがヒズマの力となる!

(このままじゃ終われない! 私だってやるんだから……仲間のために!)
 タコだらけの両手でロングソードを握りしめ、中段に構える。そして剣を振り上げ、猛烈に振り下ろす。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「……よし!」
 ジョーは目を見開いた。成功だ!

 バシュッ!
 
「わーっ⁉︎」
 ヒズマが振った剣の軌跡は、そのまま『飛ぶ斬撃』となり空を切り裂いた。
 
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