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第四話 ジョーの過去?
ジョーとアリッサ
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と言う訳で町の病院へやってきたナガレ。するとなぜか入り口でマディソンが一人立っていた。柱に背中を預け、何やら白い薬のようなものを口に放り込んでいる。
「ちわっすマディソン、何食べてんの?」
「おお、ミスター・ウエストか。ご機嫌よう。これはラムネと言うお菓子でな、王都にいた頃はよく食べていたのをふと思い出し、適当に作ってみた。ほら、口の中で溶けるお菓子だぞ」
そう言って三粒くれた。真っ白な薬みたいな見た目なのに、口に入れると溶け出して、甘い風味が広がった。
「う、うまいっ! これマディソンが作ったの⁉︎ 今度教えてよ!」
美味しさに驚いて、うっかり目標を忘れそうになったナガレ……。そう、彼はジョーに会いに来たのだ。するとマディソンがこんなところで立ち尽くしているのはどうしてだろうか?
「マディソン、どうしてここに立ってるのさ? ……ああ、なるほど。五月の春風は心地いいよねえ。荒野にも温かい風ってあるんだな~。ウチの実家は一年中雪が積もってるから分かんないけどさ」
「ははは……いや、そう言う訳じゃないんだ。理由は……そうだな、裏手の窓からこっそり覗いてくるといい。昼間はカーテンを開けているはずだ」
そう言ってマディソンは立ち上がり「これはミスター・ウエストにあげよう」と、ラムネが何粒か入った袋をくれた。そう言って道の向こうへ歩いていく。医者がそんな事でいいのだろうか……?
「えーっと、行っちゃった……。裏手に何があるんだ?」
ラムネをぽりぽり噛みながら、細い路地を通ってまわり込んだ。そして窓をこっそり見ると……。
(……! ジョーが目を覚ましてる。横にいるのは……あらら、アリッサ⁉︎)
「じ、じゃーん! 入院生活は退屈だと思ってー、そのー……本、いっぱい持ってきたよ? よ、良かったら読んでほしいなーなんて……」
「……ありがとう」
「え、えへへっ……」
見れば幸せそうな光景が広がっていた……。顔を紅潮させたニコニコ顔のアリッサが、ベッドに寝たジョーのそばに腰掛けている。近くのテーブルにはいろんな本がどっさり積まれていた。
「て、手ぇまだ使えないでしょ? 私が読み聞かせしてあげる! どれがいい?」
「もうずいぶん回復しているんだが……」
ジョーの方はアリッサとは正反対で、なんだか困ったような表情。マスクをつけたままなのによく分かるほどだ。
「まーまーそう言わずにっ! ほら、これ今朝あたしが読んでた医学の本なんだ。ちょっと難しいかもしれないけど……」
(いやいや難しいって! ジョー困ってるじゃん!)
心の中のツッコミは、当然聞こえる事はない。かわいそうだが、ナガレにできることはなさそうだ。なぜなら彼はアリッサの友達。ダチの恋路を邪魔するわけにはいかなかった…。
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