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第三話 誇りとプライドを胸に
登場・ガラガラマムシ!
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「キシャーーーーッ!」
大木のように太い体をくねらせながら、崖の下を歩くガラガラマムシ。遠目でも分かるほどの巨体だ。荒野の景色に溶け込む茶色のシマシマ模様だが、ホクス平原の緑景色では返って目立つ。鋭く尖った二本の大きなキバが、裂けた口から覗いていた。
「ギギギ……ジャーーッ!」
よほど気が立っているようで、近くにあった大木に体当たりする。
ガンッ……バキバキバキッ!
ガラガラマムシの図体より大きな木が、たった一撃でバラバラになった!
「どうしてあんなにキレてるんでしょーね……。慣れない環境にビビってるんでしゃうか?」
いつになく冷静に分析するアルクル。やはりレンを補佐するという業務に本気なのか、いつものフニャけた三枚目の雰囲気は鳴りをひそめていた。
「うむ……妙じゃな。あのガラガラマムシの感情がよく読み取れぬ。まるで人間のように、さまざまな負の感情がぐちゃぐちゃになっておるのじゃ……。モンスターの心に、そんなことがあるのか……?」
レンはその点を訝しんだ。森と共に生きていたエルフには、同じ自然を生きるモンスターの感情がなんとなく読み取れる。人間が相手の雰囲気だけで『怒ってるな』『悲しそうだな』『何かあったのかな?』と感じるように、エルフもモンスターの感情を雰囲気で感じ取れるのだ。
しかしあのガラガラマムシの感情が全く読み取れない。怒り、恐れ、悲しみ……そしてモンスターの感情としては非常に珍しい『絶望』があった。
「は……絶望?」
レンからそのことを聞き、目を丸くするアルクル。
「うむ。恐らく体は普通のガラガラマムシじゃ。しかし、この雑多な感情は……何やら裏がありそうじゃな。ナガレ君……どうか無事で戻ってこい」
レンの祈りは、果たして届くだろうか……。
~☆~☆~☆~☆~☆~
「ギギギッ……!」
ガラガラマムシは割れ舌をチロチロさせながら、爛々と輝くヘビの眼で遠くを見つめる。何がガラガラマムシを掻き立てるのか、真っ直ぐバッファローの街へ這っていく。町のゲートがはっきり見えてくる。
……とここで、ガラガラマムシの視線がすっと下にズレた。
「な、なんか大きくない? ガラガラマムシってこんなんだったかしら……?」
「う、うるせえ! どうせ戦ったことねえんだろう? だったら大きさの違いなんて、大した違いじゃないだろうが!」
「……来たな、ガラガラマムシ!」
ナガレ、タネツ、ヒズマの三人が、武器を構えて立っていたからだ。
「……シャーッ!」
苛立ちのままガラガラマムシは、歯を剥き出して威嚇する。大きなキバから、薄い黄色をした麻痺毒液がポトリと滴った。
「ひっ!」
ヒズマがザザッと後ずさる……が、それ以上逃げる気配はない。やる気なのは明らかだった。
「シューシューッ……」
威嚇で逃げないなら……殺して通るしかない。ガラガラマムシは鎌首をもたげ、臨戦態勢を取った。
「や、やっぱり逃げていい?」
「い、今更何を言うんだ。ぼ、ボス戦から逃げられる訳無えだろう……」
「ぼ、ボス戦って何よ! てか冗談よ冗談! ナガレ君を見捨てて逃げるわけないじゃない!」
「やいやい、ガラガラマムシ! 悪いけど、こっから先は通行止めだ!」
ナガレは威勢よく声を張り上げる。注目をこちらに逸らして、町への関心を逸らすつもりだ。
「大人しく来た道を戻れば見逃してやる。だが、ここを通るつもりなら……」
マルチスタッフをダンッ! と地面に叩きつける!
「てめえの命をもらっていくぞ!」
啖呵を切って、長棒を器用に回しながらガラガラマムシに突進する。タネツとヒズマも後に続いた。
バトルスタートだ!
大木のように太い体をくねらせながら、崖の下を歩くガラガラマムシ。遠目でも分かるほどの巨体だ。荒野の景色に溶け込む茶色のシマシマ模様だが、ホクス平原の緑景色では返って目立つ。鋭く尖った二本の大きなキバが、裂けた口から覗いていた。
「ギギギ……ジャーーッ!」
よほど気が立っているようで、近くにあった大木に体当たりする。
ガンッ……バキバキバキッ!
ガラガラマムシの図体より大きな木が、たった一撃でバラバラになった!
「どうしてあんなにキレてるんでしょーね……。慣れない環境にビビってるんでしゃうか?」
いつになく冷静に分析するアルクル。やはりレンを補佐するという業務に本気なのか、いつものフニャけた三枚目の雰囲気は鳴りをひそめていた。
「うむ……妙じゃな。あのガラガラマムシの感情がよく読み取れぬ。まるで人間のように、さまざまな負の感情がぐちゃぐちゃになっておるのじゃ……。モンスターの心に、そんなことがあるのか……?」
レンはその点を訝しんだ。森と共に生きていたエルフには、同じ自然を生きるモンスターの感情がなんとなく読み取れる。人間が相手の雰囲気だけで『怒ってるな』『悲しそうだな』『何かあったのかな?』と感じるように、エルフもモンスターの感情を雰囲気で感じ取れるのだ。
しかしあのガラガラマムシの感情が全く読み取れない。怒り、恐れ、悲しみ……そしてモンスターの感情としては非常に珍しい『絶望』があった。
「は……絶望?」
レンからそのことを聞き、目を丸くするアルクル。
「うむ。恐らく体は普通のガラガラマムシじゃ。しかし、この雑多な感情は……何やら裏がありそうじゃな。ナガレ君……どうか無事で戻ってこい」
レンの祈りは、果たして届くだろうか……。
~☆~☆~☆~☆~☆~
「ギギギッ……!」
ガラガラマムシは割れ舌をチロチロさせながら、爛々と輝くヘビの眼で遠くを見つめる。何がガラガラマムシを掻き立てるのか、真っ直ぐバッファローの街へ這っていく。町のゲートがはっきり見えてくる。
……とここで、ガラガラマムシの視線がすっと下にズレた。
「な、なんか大きくない? ガラガラマムシってこんなんだったかしら……?」
「う、うるせえ! どうせ戦ったことねえんだろう? だったら大きさの違いなんて、大した違いじゃないだろうが!」
「……来たな、ガラガラマムシ!」
ナガレ、タネツ、ヒズマの三人が、武器を構えて立っていたからだ。
「……シャーッ!」
苛立ちのままガラガラマムシは、歯を剥き出して威嚇する。大きなキバから、薄い黄色をした麻痺毒液がポトリと滴った。
「ひっ!」
ヒズマがザザッと後ずさる……が、それ以上逃げる気配はない。やる気なのは明らかだった。
「シューシューッ……」
威嚇で逃げないなら……殺して通るしかない。ガラガラマムシは鎌首をもたげ、臨戦態勢を取った。
「や、やっぱり逃げていい?」
「い、今更何を言うんだ。ぼ、ボス戦から逃げられる訳無えだろう……」
「ぼ、ボス戦って何よ! てか冗談よ冗談! ナガレ君を見捨てて逃げるわけないじゃない!」
「やいやい、ガラガラマムシ! 悪いけど、こっから先は通行止めだ!」
ナガレは威勢よく声を張り上げる。注目をこちらに逸らして、町への関心を逸らすつもりだ。
「大人しく来た道を戻れば見逃してやる。だが、ここを通るつもりなら……」
マルチスタッフをダンッ! と地面に叩きつける!
「てめえの命をもらっていくぞ!」
啖呵を切って、長棒を器用に回しながらガラガラマムシに突進する。タネツとヒズマも後に続いた。
バトルスタートだ!
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