上 下
13 / 739
第一話 最悪のギルド!?

名誉の負傷

しおりを挟む

~☆~☆~☆~☆~☆~

「ん……?」
 ようやくナガレは目を覚ます。いつのまにかベッドに寝かされていたようだ。ふかふかの布団が心地よくて、思ったよりずっと眠ってしまった。
「ここは……?」
 周囲は薄暗く人気がない。上には見慣れない綺麗な天井があった。壁の窓から外を見ると、もう真っ暗になっている。近くの棚には綺麗なチューリップと油のランプがあり、淡い光を放っていた。
「そっか……もしかして病院か?」
 そう思って毛布をどかすと、身体中に包帯が巻かれている。傷はもう引っ込んだのかそこまで痛くはない。
「よっこいせっと」
 ベッドから降りて腰掛ける。足元には格納されたマルチスタッフをはじめ、持っていた荷物がカゴに入れられていた。
 すると向こうにある扉がギィィ……と音を立てて開く。

「目が覚めたかい、ミスター・ウエスト?」
「ん……あなたは?」
「私はマディソン・シャーイ。一応、この町で医者をやらせてもらってるよ」
 そこから出てきたのは初老の男性。白衣を着た渋いイケおじだった。だが、鼻下のもっさりした髭がちょっと可愛いおじちゃんだ。
「そっか、オレはナガレ……って、どうしてオレの名前を? なんでオレはここに……?」
「タネツさんがここまで運び込んだんだ。えっと……ほら、あんたが助けた女の子が、助けを呼んだのさ」
「そっか……逆に助けられちまったなぁ」
 ナガレは天を仰いだ。ピカピカの天井からは大きめのカンテラがぶら下がっている。
「それでアリちゃんさ、ナガレ君とは離れようとしなかったんだけど、結局疲れて寝ちゃったんだよ。弟くんが引きずっていったから、明日また行ってみな」
「分かった、ドクター・マディソン。オレはもう動いて大丈夫か? ギルドにクエスト成功の報告をしなきゃ」
「応急処置しといたから、回復薬飲んどけば大丈夫。冒険者は体が頑丈だから、治療が楽で助かる。そうそう、代金はあそこのギルドマスターが払ってくれたから心配いらないぞ」
「ギルドマスター……レンが?」
 ロリババアのくせして良いとこあるようだ。
「君の様子を見にきたけど、ぐっすり寝てる姿を見て安心したってさ」

「そっか、サンキュー! それじゃあオレはもう行くよ。また怪我したら頼んだぜ!」
 そう言ってナガレは立ち上がり、荷物をまとめて扉を開けた。
「この小さな街に医者はここしか無いですが、怪我や病気の時は来てくれれば良いでしょうな」
 マディソンも手を振って送り出す。外に出ると、大きな月が浮かんでいた。振り向くとそこにあったのは、病院と言うには小さな建物だった。時刻は夜の八時くらいだろうか……。もうそこら辺の店は全て閉まっていた。
「えっとギルド支部は……あ、すぐ近くじゃん」
 この病院は大通りにあったようで、左を向けば支部の建物が見えた。まだ灯りがついている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ド底辺から始める下克上! 〜神に嫌われ無能力となった男。街を追放された末、理を外れた【超越】魔法に覚醒し、一大領主へ成り上がる。

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
この世界では、18の歳になると、創造神・ミーネより皆に魔力が授けられる。 捨て子だったハイネは教会に拾われたこともあり、どれだけ辛いことがあっても、ミーネを信奉し日々拝んできたが………   魔力付与式当日。 なぜかハイネにだけ、魔力が与えられることはなかった。日々の努力や信仰は全く報われなかったのだ。 ハイネは、大人たちの都合により、身体に『悪魔』を封印された忌み子でもあった。 そのため、 「能力を与えられなかったのは、呪われているからだ」 と決めつけられ、領主であるマルテ伯爵に街を追放されてしまう。 その夜、山で魔物に襲われ死にかけるハイネ。 そのとき、『悪魔』を封印していた首輪が切れ、身体に眠る力が目覚めた。 実は、封印されていたのは悪魔ではなく、別世界を司る女神だったのだ。 今は、ハイネと完全に同化していると言う。 ハイネはその女神の力を使い、この世には本来存在しない魔法・『超越』魔法で窮地を切り抜ける。 さらに、この『超越』魔法の規格外っぷりは恐ろしく…… 戦闘で並外れた魔法を発動できるのはもちろん、生産面でも、この世の常識を飛び越えたアイテムを量産できるのだ。 この力を使い、まずは小さな村を悪徳代官たちから救うハイネ。 本人は気づくよしもない。 それが、元底辺聖職者の一大両者は成り上がる第一歩だとは。 ◇  一方、そんなハイネを追放した街では……。 領主であるマルテ伯爵が、窮地に追い込まれていた。 彼は、ハイネを『呪われた底辺聖職者』と厄介者扱いしていたが、実はそのハイネの作る護符により街は魔物の侵略を免れていたのだ。 また、マルテ伯爵の娘は、ハイネに密かな思いを寄せており…… 父に愛想を尽かし、家を出奔し、ハイネを探す旅に出てしまう。 そうして、民や娘からの信頼を失い続けた伯爵は、人生崩壊の一途を辿るのであった。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...