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第一話 最悪のギルド!?
名誉の負傷
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「ん……?」
ようやくナガレは目を覚ます。いつのまにかベッドに寝かされていたようだ。ふかふかの布団が心地よくて、思ったよりずっと眠ってしまった。
「ここは……?」
周囲は薄暗く人気がない。上には見慣れない綺麗な天井があった。壁の窓から外を見ると、もう真っ暗になっている。近くの棚には綺麗なチューリップと油のランプがあり、淡い光を放っていた。
「そっか……もしかして病院か?」
そう思って毛布をどかすと、身体中に包帯が巻かれている。傷はもう引っ込んだのかそこまで痛くはない。
「よっこいせっと」
ベッドから降りて腰掛ける。足元には格納されたマルチスタッフをはじめ、持っていた荷物がカゴに入れられていた。
すると向こうにある扉がギィィ……と音を立てて開く。
「目が覚めたかい、ミスター・ウエスト?」
「ん……あなたは?」
「私はマディソン・シャーイ。一応、この町で医者をやらせてもらってるよ」
そこから出てきたのは初老の男性。白衣を着た渋いイケおじだった。だが、鼻下のもっさりした髭がちょっと可愛いおじちゃんだ。
「そっか、オレはナガレ……って、どうしてオレの名前を? なんでオレはここに……?」
「タネツさんがここまで運び込んだんだ。えっと……ほら、あんたが助けた女の子が、助けを呼んだのさ」
「そっか……逆に助けられちまったなぁ」
ナガレは天を仰いだ。ピカピカの天井からは大きめのカンテラがぶら下がっている。
「それでアリちゃんさ、ナガレ君とは離れようとしなかったんだけど、結局疲れて寝ちゃったんだよ。弟くんが引きずっていったから、明日また行ってみな」
「分かった、ドクター・マディソン。オレはもう動いて大丈夫か? ギルドにクエスト成功の報告をしなきゃ」
「応急処置しといたから、回復薬飲んどけば大丈夫。冒険者は体が頑丈だから、治療が楽で助かる。そうそう、代金はあそこのギルドマスターが払ってくれたから心配いらないぞ」
「ギルドマスター……レンが?」
ロリババアのくせして良いとこあるようだ。
「君の様子を見にきたけど、ぐっすり寝てる姿を見て安心したってさ」
「そっか、サンキュー! それじゃあオレはもう行くよ。また怪我したら頼んだぜ!」
そう言ってナガレは立ち上がり、荷物をまとめて扉を開けた。
「この小さな街に医者はここしか無いですが、怪我や病気の時は来てくれれば良いでしょうな」
マディソンも手を振って送り出す。外に出ると、大きな月が浮かんでいた。振り向くとそこにあったのは、病院と言うには小さな建物だった。時刻は夜の八時くらいだろうか……。もうそこら辺の店は全て閉まっていた。
「えっとギルド支部は……あ、すぐ近くじゃん」
この病院は大通りにあったようで、左を向けば支部の建物が見えた。まだ灯りがついている。
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