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第一話 最悪のギルド!?
窮地
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~☆~☆~☆~☆~☆~
その頃、荒野を走る馬とナガレ。どうやら馬の名前はブラウンというらしいが、ナガレはそれどころではない。悲鳴が聞こえた乾燥地域に向かって走る!
ダッダッダッダッダッ……。
長棒を持っているとは思えない速さで馬と並走するナガレ。息を切らせながらどんどんスピードを上げて、谷のすぐ近くまでやってきた。
「カカカカカカカカッ!」
「な⁉︎」
その時突然向こうから、鉄を打ち鳴らしたような大きい音が聞こえた。これはクラッキングという、声帯を持たない骨系モンスターの威嚇方法だ。
「ということは……ヤバいぞ、急げっ!」
どう考えても誰か襲われている! ナガレはさらに全力で走り、砂原を見渡す丘に突入する……すると、突然大きな背中が見えた。
骨だけになった二足歩行する恐竜みたいな外見だ。トカゲの頭蓋骨のような頭が、何度も牙を鳴らしている。オレンジ色の太陽に照らされながら立っているモンスター、その名もスカルクリーチャー!
「カカカッ! カカカカカンッ!」
「アイツはスカルクリーチャー! いやいや、前に本で見たよりめっちゃデカいな……!」
ぱっと見でもナガレの身長の三倍くらいで、見上げるほどの巨体がそこにある。異質な音量のクラッキングは、聞いていて足がすくみそうな威圧感だ。
(……ッ!? だ、誰かいる!)
今度は遠目からでもよく見える。スカルクリーチャーの視線の先にいるのは、一人の少女だ! ナガレと同じくらいの年頃だろうか、白肌金髪の可愛らしい女性。その目にははっきりと恐れが見える。
「だ、誰か……」
「カカカッ!」
スカルクリーチャーはクラッキングで唸り、骨でゴツゴツした手を振り上げる!
「危ないッ!」
ナガレが対処するにはとても間に合わない。その時、あの馬が風のように駆け出す……スカルクリーチャーの前に立ちはだかり、身代わりとなって少女を守る。
バキィッ!
「ブ……ブラウン!?」
巨体の馬が吹っ飛ばされて砂煙を上げる。少女は倒れた馬の近くによろよろと駆け寄った。
「ああ、ブラウン! ダメ、死んじゃダメ!」
「ブルルル……」
馬は少女を心配させまいと立ち上がった。しかしその胴体の毛皮が裂け、血がドクドク流れている。
「カカカ……」
無情にもスカルクリーチャーが少女に迫ってきた。そして再び腕を振り上げ……。
「でぇぇぇぇぇぇぇいっ!」
その背後で大ジャンプしたナガレが、脳天にマルチスタッフを振り下ろした!
「……カカッ? カカ、カカッ……」
頭蓋骨に少しだけヒビが入ったが、大したダメージではないようだ。スカルクリーチャーは煩わしそうに、着地したナガレを睨みつけた。
「あ、あなたは!?」
「ここはオレが食い止める! 馬を連れて早く逃げるんだ! ……通りすがりの、冒険者だよっ!」
今のナガレは、身の安全やスカルクリーチャーの危険度などをすべてほっぽり出している。助けを求めている人に、手を差し伸べられる強さを手に入れたい。その強さで、たくさんの人生に希望を与えたい……。そんな奴が、人を見捨てて逃げるわけがない!
ナガレはマルチスタッフを構え、スカルクリーチャーに向き直った。あちらも気が変わったのか、少女を完全に無視してこちらを睨んでくる。骨が絡まりあったような不気味な外見だが、そんなことは関係ない。
「さあ、来いッ! オレが相手だ!」
……そんな様子を、遠くの岩山から見つめる影が一つ。
「…………」
何者かがナガレを見ていた。真っ黒な装束を着た軽装の男だ……しかし黒いマスクをつけており、顔は良く見えない。
シュタッ!
男はさっと立ち上がり、岩山から飛び降りた。
その頃、荒野を走る馬とナガレ。どうやら馬の名前はブラウンというらしいが、ナガレはそれどころではない。悲鳴が聞こえた乾燥地域に向かって走る!
ダッダッダッダッダッ……。
長棒を持っているとは思えない速さで馬と並走するナガレ。息を切らせながらどんどんスピードを上げて、谷のすぐ近くまでやってきた。
「カカカカカカカカッ!」
「な⁉︎」
その時突然向こうから、鉄を打ち鳴らしたような大きい音が聞こえた。これはクラッキングという、声帯を持たない骨系モンスターの威嚇方法だ。
「ということは……ヤバいぞ、急げっ!」
どう考えても誰か襲われている! ナガレはさらに全力で走り、砂原を見渡す丘に突入する……すると、突然大きな背中が見えた。
骨だけになった二足歩行する恐竜みたいな外見だ。トカゲの頭蓋骨のような頭が、何度も牙を鳴らしている。オレンジ色の太陽に照らされながら立っているモンスター、その名もスカルクリーチャー!
「カカカッ! カカカカカンッ!」
「アイツはスカルクリーチャー! いやいや、前に本で見たよりめっちゃデカいな……!」
ぱっと見でもナガレの身長の三倍くらいで、見上げるほどの巨体がそこにある。異質な音量のクラッキングは、聞いていて足がすくみそうな威圧感だ。
(……ッ!? だ、誰かいる!)
今度は遠目からでもよく見える。スカルクリーチャーの視線の先にいるのは、一人の少女だ! ナガレと同じくらいの年頃だろうか、白肌金髪の可愛らしい女性。その目にははっきりと恐れが見える。
「だ、誰か……」
「カカカッ!」
スカルクリーチャーはクラッキングで唸り、骨でゴツゴツした手を振り上げる!
「危ないッ!」
ナガレが対処するにはとても間に合わない。その時、あの馬が風のように駆け出す……スカルクリーチャーの前に立ちはだかり、身代わりとなって少女を守る。
バキィッ!
「ブ……ブラウン!?」
巨体の馬が吹っ飛ばされて砂煙を上げる。少女は倒れた馬の近くによろよろと駆け寄った。
「ああ、ブラウン! ダメ、死んじゃダメ!」
「ブルルル……」
馬は少女を心配させまいと立ち上がった。しかしその胴体の毛皮が裂け、血がドクドク流れている。
「カカカ……」
無情にもスカルクリーチャーが少女に迫ってきた。そして再び腕を振り上げ……。
「でぇぇぇぇぇぇぇいっ!」
その背後で大ジャンプしたナガレが、脳天にマルチスタッフを振り下ろした!
「……カカッ? カカ、カカッ……」
頭蓋骨に少しだけヒビが入ったが、大したダメージではないようだ。スカルクリーチャーは煩わしそうに、着地したナガレを睨みつけた。
「あ、あなたは!?」
「ここはオレが食い止める! 馬を連れて早く逃げるんだ! ……通りすがりの、冒険者だよっ!」
今のナガレは、身の安全やスカルクリーチャーの危険度などをすべてほっぽり出している。助けを求めている人に、手を差し伸べられる強さを手に入れたい。その強さで、たくさんの人生に希望を与えたい……。そんな奴が、人を見捨てて逃げるわけがない!
ナガレはマルチスタッフを構え、スカルクリーチャーに向き直った。あちらも気が変わったのか、少女を完全に無視してこちらを睨んでくる。骨が絡まりあったような不気味な外見だが、そんなことは関係ない。
「さあ、来いッ! オレが相手だ!」
……そんな様子を、遠くの岩山から見つめる影が一つ。
「…………」
何者かがナガレを見ていた。真っ黒な装束を着た軽装の男だ……しかし黒いマスクをつけており、顔は良く見えない。
シュタッ!
男はさっと立ち上がり、岩山から飛び降りた。
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