上 下
2 / 508
第一話 最悪のギルド!?

荒野のギルドへ向かって

しおりを挟む
 ここは、剣と魔法の異世界グリム。
 ロードバッツ共和国によって統一された大陸には、森林や砂漠や火山に雪山など様々な地方があった。
 
 そして、ここは草原・高山・荒野が広がるスラガン地方。
 そのだだっ広い草原を春風と共に駆けていく、真っ白な馬車が一つ……。

~☆~☆~☆~☆~☆~

 ヒヒィーン!
 ダッダッダッダッダ……。
「あんちゃん、もうすぐバッファローの町に着くよ」
 二頭の馬に繋がれた手綱を適度に降っていた男性が、馬車の中を覗き見る。小綺麗な馬車内で、一人の青年が目を開けた。 
「ありがとう、駅馬車のおっちゃん」
「しかし……どうしてあんなギルドに行こうって思ったんだい?」
 そう聞かれた青年は、近場の荷物をまとめながら顔を上げた。
「冒険者ライセンスを取った後、勧誘されたんだ。家から離れたところだし、コナキ地方の父さんとか母さんから離れられるからね」
「ううむ、それは何というか……あんちゃん、冒険者だったんだな」
「ああ!」
 青年はほほ笑み姿勢を起こす。それから武器ホルダーに着けてあった、折りたたまれた鉄製の棒のようなものを手に取り、カシャン! と腰のベルトにセットした。
「そうか……ほれ、着いたぞ。ここをまっすぐ行けばバッファロー冒険者ギルドだ」
 馬車は小さな町の駅で止まった。
「荷物はじきに届くはずじゃ。ほんだら気を付けて行けよ~」
 運転手はそう言って、馬を走らせ去っていく。


 青年は街を見渡してみた。建物がたくさんある、そこそこ大きな町だ。ぱっと見でも様々な設備がある。街の向こうには褐色のゴツゴツした岩山があった。
「ありがとう! さて、オレも行くか」
 青年はポーチをベルトに固定して歩き出す。
 褐色肌で長い銀髪、丸っこい黒色の目だ。良質なライトアーマーの上からレザージャケットを羽織って、首には濃緑のスカーフを巻いていた。外見だけなら育ちが良さそうな好青年といったところだろう。……いや、ちょっと顔が中性的と言うか男にしては可愛らしいというか……はっきり言って、女性と見間違うような可愛さである。しかし性別はれっきとした男性だ。
「さあ、これから何が起こるかな。いつかなるんだ……あの人みたいに! 誰かの希望になるような、立派な冒険者になってみせる!」
 強い思いを胸に、道を歩み始めた。その決意がすぐに崩れそうになるなど、思いもせず……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

大前野 誠也
ファンタジー
ー  子供頃から体の弱かった主人公は、ある日突然クラスメイトたちと異世界に召喚されてしまう。  しかし主人公はその召喚の衝撃に耐えきれず絶命してしまった。  異世界人は世界を渡る時にスキルという力を授かるのだが、主人公のクラスメイトである灰田亜紀のスキルは死者をアンデッドに変えてしまうスキルだった。  そのスキルの力で主人公はアンデッドとして蘇ったのだが、灰田亜紀ともども追放されてしまう。  追放された森で2人がであったのは――

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

クラス転生あるあるで1人追放になって他の勇者は旅立ったけど私達はのんびりしますがのんびり出来なそうです

みさにゃんにゃん
ファンタジー
よくラノベの定番異世界転移のクラス転移で王様がある男子…黒川君を国外追放した。 理由はあるある展開で「雑魚スキルだから出てけ」ということで黒川君はドナドナされて残ったメンバーは勇者として直ぐに魔物討伐の旅に出されたが私達はのんびりしようと思います。 他のキャラのサイド話が間に入りますので悪しからず

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...