15 / 16
第三章 アイドルと怪異!7
しおりを挟む
この暗闇、半径が五メートルくらいだから(これが今の私の限界)、逃げようと思えばすぐ逃げられちゃう。
「逃げるのか?」って、時雨さんの声。
「はん。ばかが、逃げるのではない。少しでも不利な状況で戦う必要など……」
「黙れ、逃がすかっ! これまで手こずらせてくれた分、全力全開で撃ち込んでやる!」
すうっ、と息を吸い込む音。
そして。
「雷よ!」
がおおおんっ!
太陽よりも激しくて鮮やかな光が、ものすごい音とともに、一瞬だけ闇を切り裂いて私たちを照らす。
「ギエエエエエ……!」
大きな叫び声がして、でも次第にか細くなって、やがて消えた。
暗闇の中がしーんと静かになる。
「あいねさん」
「あっ、はいっ、時雨さん!? どの辺にいますか!?」
「終わりました。暗闇を解いてください」
「はいっ! 戻れっ!」
そう唱えると、練習との時と同じように、暗闇が嘘みたいに消えちゃった。
明るい日差しの下で、黒い灰になったランド・ハーピーが、風に吹かれてさらさらと形をなくしていく。
「す、すごい、時雨さん……一発ですか」
「闇の中でなら溜めは一瞬で済みますし、威力もじゅうぶん出せます。ですが、あいねさん。あんな危ないことをしてはいけません。ハーピーの類はよく歌声で人を惑わせるんですが、こいつは、完全に戦闘に特化した怪異だったんですよ。一歩間違えたら……いや、ぼくがふがいないせいか……申し訳ありませんでした」
時雨さんが頭を下げてくる。
「えっ!? そ、そんな! 頭を上げてください! 私はただ、……私にできることがあるなら、やってみたかっただけなんです。私のために戦ってくれてる人がいるのに、それをただ見てるだけなんて、できないですよ……」
「あいねさん……あなたという人は……」
時雨さんが、私を見つめてくる。
黒い、でも、光の粒が見える、透き通ったような目。
きれいだな。……ずっと見ていたくなる……
ぱんぱんぱん。
手を叩く音。
「はーいはいはいはい。そこまでにしといてね。あたしもいるんだから。続きは二人っきりの時にすればいいでしょ」
私はマリカちゃんのほうにぐりんって振り向く。
「ま、マリカちゃんっ!? なに言ってるの!?」
「それより、シュンも目が覚めたみたいだし。一件落着、かな?」
マリカちゃんの横で、シュンくんが体を起こして、頭をふらふらさせてるのが見えた。
「シュンくん! 平気!?」
「う、おれ……一体……あの化け物は……」
気分はよくないみたいだけど、とりあえずよかった。
「あいねさん。これを」
「え?」
時雨さんに呼ばれて振り返ると、その手には、悪魔のカードがある。
「あ、それ、もしかして」
「ランド・ハーピーのものです。あいねさんは、なかなか能力の使い方がお上手ですね。あまり怪異と直接戦っては欲しくないですが、武器は多いほどいいでしょう。これもお持ちください」
「あ、ありがとうございますっ。これ、どんな能力だろう?」
「ハーピーなので、魅了ではないでしょうか」
「み、魅了……」
「簡単に言えば、あいねさんが超もってもてになります。同年代の男子であれば、ほとんどはひとたまりもなくあいねさんのとりこになるでしょうね。もっとも、ぼくはそんな能力がなくても、あいねさんへの好感度は天井知らずですが」
そっか。
ハーピーの魅了の能力。それでシュンくんにつけいって、シュンくんの人気が能力のおかげだって思わせて、とり憑いてた。
……あんまり、好きになれそうにない能力だな……
今、さらっと時雨さんに恥ずかしいことを言われたような気もするけど、気にしないでおこう。
「あ、おや、失礼しました。これは魅了ではなくて、気配察知の能力ですね」
「えっ」
時雨さんに渡されたカードをまじまじと見る。
「……あいね、なにがっかりしてんのよ」
「が、がっかりはしてないっ!」
時雨さんはあたりを見回して、
「周囲には危険はないようですが、シュン殿が落ち着かれるまでの間、ためしに使ってみてはいかがです?」
「うーん、それじゃ……ランド・ハーピー!」
カードを掲げて唱えてはみたけど、空を飛んだり暗闇を作るみたいな変化は、起きない。
あれ? 今カード使ったよね?
くるっと首を巡らせて、マリカちゃんを見てみたら、その形のいい頭の周りに、ふわふわとした雲みたいなものがいくつか浮いてた。
雲はどれも白じゃなくて、いろんな色がついてる。
赤が少しと、オレンジや緑も混じっていて、一番大きな雲は青一色。
……これが、気配察知?
シュンくんも見てみる。
こっちは赤と青の色が同じくらいで、オレンジ色が一番多い。小さいピンクの雲もあった。
確かに、この雲がランド・ハーピーの能力みたいなんだけど……。
「うーん、よく分からないですね……カラフルな雲が、みんなの頭の周りに浮いてるんですけど……赤とか青とかピンクとか……」
そう言った私に、時雨さんが横に立って答えてきた。
「おそらくその色は、相手があいねさんに対して抱いている気持ちを表しているのでしょう。ランド・ハーピーはそのうち敵意の色を見極めて、ぼくの攻撃を察知していたんでしょうね」
「うう、説明書が欲しいです……青とかオレンジってなんなんだろう……」
マリカちゃんが、ふいっとシュンくんのほうを見た。
すると、雲の色が変わって、赤とピンクがふわっと増える。
「マリカ殿やシュン殿は、あいねさんに好感を抱いているでしょうから、二人に共通しているのは善意、好意、友情、親しみ……などでしょうか」
「な、なんだかそう言われると照れますけど。でもこれ、人の考えてることを勝手に見てるみたいで、ちょっと……」
そう言って、私は隣に立つ時雨さんを見た。
「えっ!?」
「はい? ぼくがなにか?」
「あ、い、いえっ! なんでもないんですけどっ」
時雨さんの雲の色は、青、緑、オレンジが少しずつ混ざったものと。
それよりなにより、ほかの色を圧倒して、ピンク色の大きな雲がどーんって頭の上に浮かんでた。
な、なんだろう。ピンクってなんなの?
しもべとして、主人を思う気持ち? でも、私を見てる時のシュンくんの雲にもちょっとピンクが見えるから、違うだろうと思う。
「あいねさん?」
時雨さんが心配そうに、私の顔を覗き込んでくる。
あの透き通った瞳と目が合った。
こうなると、ぼーっとしそうになっちゃうんだよね。もしかして、時雨さんこそ魅了の能力がつかえるんじゃ?
「わ、私、もう少しうまく使いこなせるまで、このカードあんまり使わないでおこうかなっ」
そう言って、能力を解除して、スマホにカードを吸い込ませた。
みんなの頭の上の雲が消える。
「あいね……」
シュンくんが、ガルちゃんの背中から降りて屋上に立った。
よかった、顔色がよくなってる。
「おれ、ずいぶん、迷惑かけちゃったみたいだな。君にも、マリカにも、ほかのみんなにも……」
申し訳なさそうに目を伏せるシュンくんに、後ろからマリカちゃんが声をかける。
「まあ、怪異のせいって言っても、ちょっかい出してた女の子たちには謝っておきなさいよ。うちのメンバーにも絡んでたんだからね、あんた」
「ま、マリカちゃんっ」
「いいんだ、あいね。その通りだよ」
マリカちゃんは、ツインテールの右の髪をぱしんと手で払って横を向きながら、済まなそうにしてるシュンくんに言った。
「まあでも、あたしたちのお仕事って、誰にも迷惑かけてばっかりいるんだし。まじめにちゃんと謝れば、今回くらいは許してくれるんじゃないの」
マリカちゃんなりに、シュンくんがアイドルを続けられるように、励ましてくれてるんだな。
そうだよね、二人は同じお仕事をしてる同士だもん。
私は、なに言っていいのか分からないな……。
「あいねからもなんか言ってあげなさいよ」
「えっ? わ、私っ?」
たった今、なに言っていいか分からないと思ってたところだったのに?
「え、えーと、シュンくんは、すごく立派だと思うよ! まだ中学生なのに、アイドルとしてお仕事して、たくさんの人を元気にして……ってそうだ、アイドルになったのって、私がきっかけだったんだよね?」
ぐっ、とシュンくんが息をのんでのけぞる。
なぜかマリカちゃんが、おお、って言ってにんまりしてた。その横で、なぜかキエロもにこにこしてる。
「そんなの全然知らなかった……! 私、芸能人ってなってみたいなっていう憧れはあったけど、人を元気づけたくてアイドル目指すなんて、すごいよ! シュンくんみたいな友達がいて、私とっても誇らしい!」
「友達……ああ、そうだな。おれも、あいねみたいな友達がいて、うれしいよ。前からずっと、そう思ってた」
わあ。
今やテレビに出てるシュンくんにそう言ってもらえるなんて、変な気分だな。
「今、おれたち、新しく動画もいろいろ撮り始めてるんだ。編集が終わったら順々にアップしていくけど、今までにやってたのよりずっと見栄えのいい、かっこいい仕上がりになると思う。見てるだけで楽しくなるような、元気になれるアイドルになるよ」
「うんっ。シュンくんなら、絶対できるよ!」
こんなにシュンくんと話すの、久しぶりだな。
今日こうして会えなかったら、シュンくんがもし怪異にとり憑かれたままだったら、どうなってたんだろう。
それを考えると、ちょっと怖くなる。
私が知らないだけで、そんなふうにして悪いほうへ行っちゃって、取り返しがつかなくなってることも、たくさんあるのかもしれない。
ふと見ると、時雨さんがガルちゃんの大きな頭をなでてた。
吸血鬼の王子様。そして、私のしもべ。
……しもべ、だなんて。
私のほうが、助けられてばっかりなのに。
どうしてだろう。
目も合ってないのに、時雨さんを見てると、胸がきゅっと痛んだ。
「逃げるのか?」って、時雨さんの声。
「はん。ばかが、逃げるのではない。少しでも不利な状況で戦う必要など……」
「黙れ、逃がすかっ! これまで手こずらせてくれた分、全力全開で撃ち込んでやる!」
すうっ、と息を吸い込む音。
そして。
「雷よ!」
がおおおんっ!
太陽よりも激しくて鮮やかな光が、ものすごい音とともに、一瞬だけ闇を切り裂いて私たちを照らす。
「ギエエエエエ……!」
大きな叫び声がして、でも次第にか細くなって、やがて消えた。
暗闇の中がしーんと静かになる。
「あいねさん」
「あっ、はいっ、時雨さん!? どの辺にいますか!?」
「終わりました。暗闇を解いてください」
「はいっ! 戻れっ!」
そう唱えると、練習との時と同じように、暗闇が嘘みたいに消えちゃった。
明るい日差しの下で、黒い灰になったランド・ハーピーが、風に吹かれてさらさらと形をなくしていく。
「す、すごい、時雨さん……一発ですか」
「闇の中でなら溜めは一瞬で済みますし、威力もじゅうぶん出せます。ですが、あいねさん。あんな危ないことをしてはいけません。ハーピーの類はよく歌声で人を惑わせるんですが、こいつは、完全に戦闘に特化した怪異だったんですよ。一歩間違えたら……いや、ぼくがふがいないせいか……申し訳ありませんでした」
時雨さんが頭を下げてくる。
「えっ!? そ、そんな! 頭を上げてください! 私はただ、……私にできることがあるなら、やってみたかっただけなんです。私のために戦ってくれてる人がいるのに、それをただ見てるだけなんて、できないですよ……」
「あいねさん……あなたという人は……」
時雨さんが、私を見つめてくる。
黒い、でも、光の粒が見える、透き通ったような目。
きれいだな。……ずっと見ていたくなる……
ぱんぱんぱん。
手を叩く音。
「はーいはいはいはい。そこまでにしといてね。あたしもいるんだから。続きは二人っきりの時にすればいいでしょ」
私はマリカちゃんのほうにぐりんって振り向く。
「ま、マリカちゃんっ!? なに言ってるの!?」
「それより、シュンも目が覚めたみたいだし。一件落着、かな?」
マリカちゃんの横で、シュンくんが体を起こして、頭をふらふらさせてるのが見えた。
「シュンくん! 平気!?」
「う、おれ……一体……あの化け物は……」
気分はよくないみたいだけど、とりあえずよかった。
「あいねさん。これを」
「え?」
時雨さんに呼ばれて振り返ると、その手には、悪魔のカードがある。
「あ、それ、もしかして」
「ランド・ハーピーのものです。あいねさんは、なかなか能力の使い方がお上手ですね。あまり怪異と直接戦っては欲しくないですが、武器は多いほどいいでしょう。これもお持ちください」
「あ、ありがとうございますっ。これ、どんな能力だろう?」
「ハーピーなので、魅了ではないでしょうか」
「み、魅了……」
「簡単に言えば、あいねさんが超もってもてになります。同年代の男子であれば、ほとんどはひとたまりもなくあいねさんのとりこになるでしょうね。もっとも、ぼくはそんな能力がなくても、あいねさんへの好感度は天井知らずですが」
そっか。
ハーピーの魅了の能力。それでシュンくんにつけいって、シュンくんの人気が能力のおかげだって思わせて、とり憑いてた。
……あんまり、好きになれそうにない能力だな……
今、さらっと時雨さんに恥ずかしいことを言われたような気もするけど、気にしないでおこう。
「あ、おや、失礼しました。これは魅了ではなくて、気配察知の能力ですね」
「えっ」
時雨さんに渡されたカードをまじまじと見る。
「……あいね、なにがっかりしてんのよ」
「が、がっかりはしてないっ!」
時雨さんはあたりを見回して、
「周囲には危険はないようですが、シュン殿が落ち着かれるまでの間、ためしに使ってみてはいかがです?」
「うーん、それじゃ……ランド・ハーピー!」
カードを掲げて唱えてはみたけど、空を飛んだり暗闇を作るみたいな変化は、起きない。
あれ? 今カード使ったよね?
くるっと首を巡らせて、マリカちゃんを見てみたら、その形のいい頭の周りに、ふわふわとした雲みたいなものがいくつか浮いてた。
雲はどれも白じゃなくて、いろんな色がついてる。
赤が少しと、オレンジや緑も混じっていて、一番大きな雲は青一色。
……これが、気配察知?
シュンくんも見てみる。
こっちは赤と青の色が同じくらいで、オレンジ色が一番多い。小さいピンクの雲もあった。
確かに、この雲がランド・ハーピーの能力みたいなんだけど……。
「うーん、よく分からないですね……カラフルな雲が、みんなの頭の周りに浮いてるんですけど……赤とか青とかピンクとか……」
そう言った私に、時雨さんが横に立って答えてきた。
「おそらくその色は、相手があいねさんに対して抱いている気持ちを表しているのでしょう。ランド・ハーピーはそのうち敵意の色を見極めて、ぼくの攻撃を察知していたんでしょうね」
「うう、説明書が欲しいです……青とかオレンジってなんなんだろう……」
マリカちゃんが、ふいっとシュンくんのほうを見た。
すると、雲の色が変わって、赤とピンクがふわっと増える。
「マリカ殿やシュン殿は、あいねさんに好感を抱いているでしょうから、二人に共通しているのは善意、好意、友情、親しみ……などでしょうか」
「な、なんだかそう言われると照れますけど。でもこれ、人の考えてることを勝手に見てるみたいで、ちょっと……」
そう言って、私は隣に立つ時雨さんを見た。
「えっ!?」
「はい? ぼくがなにか?」
「あ、い、いえっ! なんでもないんですけどっ」
時雨さんの雲の色は、青、緑、オレンジが少しずつ混ざったものと。
それよりなにより、ほかの色を圧倒して、ピンク色の大きな雲がどーんって頭の上に浮かんでた。
な、なんだろう。ピンクってなんなの?
しもべとして、主人を思う気持ち? でも、私を見てる時のシュンくんの雲にもちょっとピンクが見えるから、違うだろうと思う。
「あいねさん?」
時雨さんが心配そうに、私の顔を覗き込んでくる。
あの透き通った瞳と目が合った。
こうなると、ぼーっとしそうになっちゃうんだよね。もしかして、時雨さんこそ魅了の能力がつかえるんじゃ?
「わ、私、もう少しうまく使いこなせるまで、このカードあんまり使わないでおこうかなっ」
そう言って、能力を解除して、スマホにカードを吸い込ませた。
みんなの頭の上の雲が消える。
「あいね……」
シュンくんが、ガルちゃんの背中から降りて屋上に立った。
よかった、顔色がよくなってる。
「おれ、ずいぶん、迷惑かけちゃったみたいだな。君にも、マリカにも、ほかのみんなにも……」
申し訳なさそうに目を伏せるシュンくんに、後ろからマリカちゃんが声をかける。
「まあ、怪異のせいって言っても、ちょっかい出してた女の子たちには謝っておきなさいよ。うちのメンバーにも絡んでたんだからね、あんた」
「ま、マリカちゃんっ」
「いいんだ、あいね。その通りだよ」
マリカちゃんは、ツインテールの右の髪をぱしんと手で払って横を向きながら、済まなそうにしてるシュンくんに言った。
「まあでも、あたしたちのお仕事って、誰にも迷惑かけてばっかりいるんだし。まじめにちゃんと謝れば、今回くらいは許してくれるんじゃないの」
マリカちゃんなりに、シュンくんがアイドルを続けられるように、励ましてくれてるんだな。
そうだよね、二人は同じお仕事をしてる同士だもん。
私は、なに言っていいのか分からないな……。
「あいねからもなんか言ってあげなさいよ」
「えっ? わ、私っ?」
たった今、なに言っていいか分からないと思ってたところだったのに?
「え、えーと、シュンくんは、すごく立派だと思うよ! まだ中学生なのに、アイドルとしてお仕事して、たくさんの人を元気にして……ってそうだ、アイドルになったのって、私がきっかけだったんだよね?」
ぐっ、とシュンくんが息をのんでのけぞる。
なぜかマリカちゃんが、おお、って言ってにんまりしてた。その横で、なぜかキエロもにこにこしてる。
「そんなの全然知らなかった……! 私、芸能人ってなってみたいなっていう憧れはあったけど、人を元気づけたくてアイドル目指すなんて、すごいよ! シュンくんみたいな友達がいて、私とっても誇らしい!」
「友達……ああ、そうだな。おれも、あいねみたいな友達がいて、うれしいよ。前からずっと、そう思ってた」
わあ。
今やテレビに出てるシュンくんにそう言ってもらえるなんて、変な気分だな。
「今、おれたち、新しく動画もいろいろ撮り始めてるんだ。編集が終わったら順々にアップしていくけど、今までにやってたのよりずっと見栄えのいい、かっこいい仕上がりになると思う。見てるだけで楽しくなるような、元気になれるアイドルになるよ」
「うんっ。シュンくんなら、絶対できるよ!」
こんなにシュンくんと話すの、久しぶりだな。
今日こうして会えなかったら、シュンくんがもし怪異にとり憑かれたままだったら、どうなってたんだろう。
それを考えると、ちょっと怖くなる。
私が知らないだけで、そんなふうにして悪いほうへ行っちゃって、取り返しがつかなくなってることも、たくさんあるのかもしれない。
ふと見ると、時雨さんがガルちゃんの大きな頭をなでてた。
吸血鬼の王子様。そして、私のしもべ。
……しもべ、だなんて。
私のほうが、助けられてばっかりなのに。
どうしてだろう。
目も合ってないのに、時雨さんを見てると、胸がきゅっと痛んだ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。

【完結】落ちこぼれと森の魔女。
たまこ
児童書・童話
魔力が高い家系に生まれたのに、全く魔力を持たず『落ちこぼれ』と呼ばれるルーシーは、とっても厳しいけれど世話好きな魔女、師匠と暮らすこととなる。
たまにやって来てはルーシーをからかうピーターや、甘えん坊で気まぐれな黒猫ヴァンと過ごす、温かくて優しいルーシーの毎日。
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)
大嫌いなキミに愛をささやく日
またり鈴春
児童書・童話
私には大嫌いな人がいる。
その人から、まさか告白されるなんて…!
「大嫌い・来ないで・触らないで」
どんなにヒドイ事を言っても諦めない、それが私の大嫌いな人。そう思っていたのに…
気づけば私たちは互いを必要とし、支え合っていた。
そして、初めての恋もたくさんの愛も、全部ぜんぶ――キミが教えてくれたんだ。
\初めての恋とたくさんの愛を知るピュアラブ物語/
ベンとテラの大冒険
田尾風香
児童書・童話
むかしむかしあるところに、ベンという兄と、テラという妹がいました。ある日二人は、過去に失われた魔法の力を求めて、森の中に入ってしまいます。しかし、森の中で迷子になってしまい、テラが怪我をしてしまいました。そんな二人の前に現れたのは、緑色の体をした、不思議な女性。リンと名乗る精霊でした。全九話です。
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる