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その後の二人
しおりを挟む「で? は? ヤリすぎでカレンが筋肉痛になって? 歩けないから抱えてここまで来たと?」
「マーガレット、お願いだからオブラートに包んで…」
「お前すげぇな…」
あれからカレンとグレンは、マーガレットの家に来ていた。カレンが無事人間に戻ったことを報告するためである。
カレンはマーガレットと向き合う形で椅子に座っていた。グレンはカレンの隣に座ろうとしたら、マーガレットに「お前の席はここだ」と床を指され、固い板の上で正座中だ。
ちなみに赤子はマーガレットの膝の上でしっかりと大人達の会話を聞いている。
「私がどんだけ驚いたと思ってんの? 抱えられて来たカレンを見て、どこか後遺症でもあったのかと思えば…え? イチャついてただけ??」
「ごめん、マーガレット…」
「カレンは悪くないわよ、全部そのタマなしのせいでしょ?」
「タマっ…」
「た、タマはあったわ!」
「カレン!?」
「カレンはソレで満足したわけ?」
「………」
「~~~~~、ぅん…」
真っ赤な顔でコクリと頷いたカレン。それを見て声にならない喜びを噛み締めているグレン。
赤子はキャッキャと、小さな手を一生懸命叩いていた。この場にまともな大人がいなくなった瞬間だった。
「カレンがいいなら私は何も言わないけどさ……グレン、あんたカレンを泣かせたらそのタマ、使い物にならないようにしてやるから覚えておきなさい?」
「ヒュッ……な、泣かせない!!!」
息を呑んだグレンは、真っ青な顔でそう断言した。
「信用ゼロね」
「う! う!」
「うん…」
「カレンまで!?」
グレンが信用される日は、果たして来るのだろうか。
「それにしても、なんだったのかしらね、あのチョーカー……もしかして、この子のヨダレパワーだったり…!?」
「うー?」
うちの子天才!なんて盛り上がってる親子を前にして、カレンは何も言えなかった。
(言えない…私たちもそのチョーカー汚しまくりました、なんて…)
気付けばカレンの首から外れていた真っ赤なチョーカー。その存在を思い出したのは、グレンとあんなこんなして疲れ果て、ひと眠りした後のこと。
ソファの下でカピカピになっていたのを発見した。それだけ昨夜はすごかったのだったと、チョーカーは全てを物語っていた。
「うちの子に感謝しなさいよ~? この子が手を出さなきゃ、こうはなってなかったかもしれないんだから」
「そ、そうね、なにかお礼をしたいかも!」
「え、ほんと? なら欲しいものがあるんだけど」
誤魔化したくてそう言ったカレンに、マーガレットは食い気味でこう言った。
「うちの娘ちゃんにお友達が欲しいのよねぇ。遊び相手っていうかぁ」
「うん?」
「まぁ、こういうのは授かりものだし、二人の考えもあるだろうから無理に~とは言わないけども」
「ん…?」
「カレンとグレンの子供なら、名前はアレンかエレンかしらね~」
「「こっ…」」
カレンとグレンは二人揃って言葉を失くす。
片方は、その姿を想像して。そしてもう片方は___
「ねぇ、グレン。私達って……付き合ってる、のかな?」
「え」
「は?」
今度はグレンとマーガレットが言葉を失くす番だった。グレンに至っては、天国から地獄へと叩き落された気分だ。
「ちょっとグレン!? これどういうこと!?」
「え、は、ま、カレン!? なんでそう思っ…」
「だって…グレンだし…あ、遊びかもって…」
グレンの顔色はまたもや真っ青になった。
「ねぇカレン、今からでも遅くはないわ、やっぱり別の男にしましょう」
「え…」
「おい! マーガレット!! やめろ!!」
「うるさい! あんたなんかにカレンはもったいないのよ!!」
「う! う!」
女遊びに呆けていた男は、ここに来てその代償を払うことになりそうだ。
恋愛に臆病で、面倒くさい女は果たして幸せになれるのだろうか。
前途多難な二人の恋は、まだまだ続く___
HAPPY END?
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