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第14話
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「ふぁー!」
嬉しさのあまり、メールを確認した瞬間変な声が出てしまった。ファンとして認識されたことももちろんだが、書くのをやめないでいてくれることが本当に嬉しかった。これでまた彼の作品を読むことができる。
(十夢先生……)
素敵な人だった。かっこいいし優しいし、作品そのものも素晴らしい。十夢先生の人間性がそのまま表れたような、せつなくも優しい物語だった。今はまだ無名かもしれないけど、このまま頑張っていればいつか必ず日の当たる時が来る。柚希はそう信じている。
「きみの声が公共の電波に乗って聞こえてきたら素敵だろうな」
十夢先生の言葉が蘇って来るのと同時に、あるひとつの考えが芽生えてきた。
(決めましたよ、先生)
声優になろう。自分もただのファンとして終わりたくない。十夢先生が文章で自分の世界を表現するのなら、自分はこの声で想いを届けたい。彼が「好きだ」と言ってくれたニューハーフボイスを、存分に生かしたい。
それに、声優業界で頑張っていればいつかまた十夢先生に会えるかもしれない。彼と一緒に仕事ができるかもしれない。その時に、改めて人気声優になった自分を見て欲しい。
(先生、おれ頑張りますから。だから、いつかまた絶対会いましょうね)
そう心で呼びかけ、柚希は初めて手に入れた同人誌を胸に抱き締めた……。
嬉しさのあまり、メールを確認した瞬間変な声が出てしまった。ファンとして認識されたことももちろんだが、書くのをやめないでいてくれることが本当に嬉しかった。これでまた彼の作品を読むことができる。
(十夢先生……)
素敵な人だった。かっこいいし優しいし、作品そのものも素晴らしい。十夢先生の人間性がそのまま表れたような、せつなくも優しい物語だった。今はまだ無名かもしれないけど、このまま頑張っていればいつか必ず日の当たる時が来る。柚希はそう信じている。
「きみの声が公共の電波に乗って聞こえてきたら素敵だろうな」
十夢先生の言葉が蘇って来るのと同時に、あるひとつの考えが芽生えてきた。
(決めましたよ、先生)
声優になろう。自分もただのファンとして終わりたくない。十夢先生が文章で自分の世界を表現するのなら、自分はこの声で想いを届けたい。彼が「好きだ」と言ってくれたニューハーフボイスを、存分に生かしたい。
それに、声優業界で頑張っていればいつかまた十夢先生に会えるかもしれない。彼と一緒に仕事ができるかもしれない。その時に、改めて人気声優になった自分を見て欲しい。
(先生、おれ頑張りますから。だから、いつかまた絶対会いましょうね)
そう心で呼びかけ、柚希は初めて手に入れた同人誌を胸に抱き締めた……。
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