転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています～ヴァルハラで死合いましょう～

第２８章～魔剣士の台頭～

第３６話

「お前らちょっと待て！」

　いても立ってもいられず、アクセルは魔剣士の集団を制止した。

　彼らのうち数名がこちらに気付き、何事かと振り返ってくる。その中には先日アロイスを燃やし尽くしたドラコもいた。

「あっ！　お前はこの間僕に喧嘩を売ってきた生意気な戦士！」
「そんなことはどうでもいい！　さっさとその人たちを解放しろ！」
「はあ？　何でお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ。お前には関係ないだろ」
「関係ないわけないだろ！　被害を受けた戦士の中には、俺の友人もいるんだよ！　だいたいあんな無差別な殺戮をやらかして、一体何のつもりなんだ！？　人の心とかないのか！？」

　そう怒鳴りつけたのだが、ドラコはさも面倒臭そうに地面を蹴った。

「あーもううるさいな！　お前みたいに生意気な戦士が多いから、ちょっとお仕置きしてやっただけだろ！　死合いに勝ってるのは僕たちなのに、毎回『それはズルい』だの『魔法なんて反則』だの、文句ばっかりつけやがって！　弱者は弱者らしく強者に従うのがヴァルハラのルールじゃん！」
「ルールを都合よく解釈するな！　強者だからって何をしてもいいわけじゃないんだよ！　つべこべ言わず、その人たちを解放しろ！」

　ドラコと言い合いになっていると、集団の前の方からリーダーと思しき青年がやってきた。

「おい、さっきから何やってんだよ」
「イーサン！」

　ドラコはこれ幸いとリーダー・イーサンに駆け寄り、こちらを指さして訴えた。