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第26章~狩りの引率~
第42話
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「……もう、お前は相変わらずお人好しだな。もう少し怒ってもいいのに」
「別に怒るところじゃないだろ。とりあえず、これは花瓶に生けてくるよ」
早速アクセルは洗面所に行き、花束を解いて茎をちょうどいい長さに切り直した。そして水を入れた花瓶に生け、リビングのテーブルに置いておくことにした。花を飾るなんてだいぶ久しぶりな気がする。
「……で、こっちはどうする?」
兄が酒瓶を掲げて来る。ヴァルハラでは一般的なヤギの蜜酒のようだった。
「飲んじゃっていいんじゃないか? 酒に罪はないだろ?」
「そうなんだけど……毒とか薬とか、変なもの入ってないよね?」
「……そこまで疑うのか? いくら何でもそんなことはしないと思うが」
「わからないでしょ。お前が能天気な分、私が疑り深くないと」
そう言って兄は小皿に酒を少し出し、舐めるように味見し始めた。
その理屈でいうと、毒が入ってた場合兄が大変なことになるんじゃ……と慌てたが、
「うーん……大丈夫、っぽい? 味は普通の蜜酒みたいだ」
と、判断していたのでちょっと安心した。毒の酒じゃなくてよかった。
「でも心配だから、これは私が全部処理しちゃうね。お前は私が買っておいた秘蔵のお酒を飲みなさい」
「ああ……まあ、いいけど……」
その後は、先日の狩りについてのレポートをまとめた。
一応提出用のテンプレートがあるのだが、自分が死んだ後のことはよくわからなかったので、とりあえず書けるところだけ書いておいた。
「別に怒るところじゃないだろ。とりあえず、これは花瓶に生けてくるよ」
早速アクセルは洗面所に行き、花束を解いて茎をちょうどいい長さに切り直した。そして水を入れた花瓶に生け、リビングのテーブルに置いておくことにした。花を飾るなんてだいぶ久しぶりな気がする。
「……で、こっちはどうする?」
兄が酒瓶を掲げて来る。ヴァルハラでは一般的なヤギの蜜酒のようだった。
「飲んじゃっていいんじゃないか? 酒に罪はないだろ?」
「そうなんだけど……毒とか薬とか、変なもの入ってないよね?」
「……そこまで疑うのか? いくら何でもそんなことはしないと思うが」
「わからないでしょ。お前が能天気な分、私が疑り深くないと」
そう言って兄は小皿に酒を少し出し、舐めるように味見し始めた。
その理屈でいうと、毒が入ってた場合兄が大変なことになるんじゃ……と慌てたが、
「うーん……大丈夫、っぽい? 味は普通の蜜酒みたいだ」
と、判断していたのでちょっと安心した。毒の酒じゃなくてよかった。
「でも心配だから、これは私が全部処理しちゃうね。お前は私が買っておいた秘蔵のお酒を飲みなさい」
「ああ……まあ、いいけど……」
その後は、先日の狩りについてのレポートをまとめた。
一応提出用のテンプレートがあるのだが、自分が死んだ後のことはよくわからなかったので、とりあえず書けるところだけ書いておいた。
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