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第26章~狩りの引率~
第37話
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拳にすっぽり収まってしまいそうな小さな貝殻だったが、ほんのりと優しい温もりを感じた。
「ありがとう……。いつも何から何まですまない……」
「いいんだよ。これで私の悩みのタネがひとつ減ると思えば、安いものだ。……その御守り、ちゃんと肌身離さず持っておいてね」
「ああ、もちろんだ」
その後はみんなで食事をし、平和なランチを楽しんだ。
兄が自慢していた通り熊肉を使ったカレーはとても美味しく、空腹だったこともあって二杯もおかわりしてしまった。
食器の片付けをし、少し落ち着いたところで出掛ける支度をする。御守りを作ってくれたバルドルに、直接礼を言いに行こうと思ったのだ。
最初は一人で行こうと思っていたが、兄もついてきてくれるというので二人でバルドルの屋敷を訪問することになった。
「手土産用意した方がよかったかな」
世界樹にあるゲートを通り抜けたところで、アクセルは呟いた。
お礼をしに行くのに手ぶらとは、やや配慮が足りなかったように思う。相手は友人ではなく高名な神なのだから、供物になるような嗜好品を持ってくるべきだった。
すると兄は、にこりと微笑んで言った。
「バルドル様はそんなこと気にしないから大丈夫だよ。バルドル様が気にしなければホズ様も気にしないから、顔を見せに行くだけで十分さ。お前、バルドル様に会いに行くの久しぶりだろう?」
「そう言えばそうだったな」
確かに、随分ご無沙汰だった。そういう意味でも、やはり手土産は用意した方がよかったかも……と軽く後悔する。
「ありがとう……。いつも何から何まですまない……」
「いいんだよ。これで私の悩みのタネがひとつ減ると思えば、安いものだ。……その御守り、ちゃんと肌身離さず持っておいてね」
「ああ、もちろんだ」
その後はみんなで食事をし、平和なランチを楽しんだ。
兄が自慢していた通り熊肉を使ったカレーはとても美味しく、空腹だったこともあって二杯もおかわりしてしまった。
食器の片付けをし、少し落ち着いたところで出掛ける支度をする。御守りを作ってくれたバルドルに、直接礼を言いに行こうと思ったのだ。
最初は一人で行こうと思っていたが、兄もついてきてくれるというので二人でバルドルの屋敷を訪問することになった。
「手土産用意した方がよかったかな」
世界樹にあるゲートを通り抜けたところで、アクセルは呟いた。
お礼をしに行くのに手ぶらとは、やや配慮が足りなかったように思う。相手は友人ではなく高名な神なのだから、供物になるような嗜好品を持ってくるべきだった。
すると兄は、にこりと微笑んで言った。
「バルドル様はそんなこと気にしないから大丈夫だよ。バルドル様が気にしなければホズ様も気にしないから、顔を見せに行くだけで十分さ。お前、バルドル様に会いに行くの久しぶりだろう?」
「そう言えばそうだったな」
確かに、随分ご無沙汰だった。そういう意味でも、やはり手土産は用意した方がよかったかも……と軽く後悔する。
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