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第26章~狩りの引率~
第20話(アクセル~フレイン視点)
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「な……ぜ……」
わけもわからず、アクセルはその場に倒れ込んだ。
兄からもらった呼び出し鈴が、地面に落ちてパキッと砕けた。
***
――アクセル……!?
鈴の音が聞こえて、フレインは急いで山の中に入った。
実を言うと、今朝からずっと嫌な予感はしていた。これもいつもの第六感みたいなもので、何かしらの事件が起こる気配を感じていたのだ。
だから弟には念のために呼び鈴を三つも持たせたし、すぐに駆け付けられるよう武器を持って山の麓をウロウロしていた。
そしたら……案の定、鈴の音が聞こえた。弟に何かあった証拠だ。
――ん? この気配は……もしや、さっきまでスレイプニルがいた?
スレイプニルの気配そのものは遠ざかっている……が、張り詰めた空気はまだ残っているみたいだった。
ここは縄張りではないから、気まぐれに通りかかっただけかもしれない。
だけど、以前新人が間違ってスレイプニルに接触した時は大変なことになったから、アクセルも同じく巻き込まれている可能性がある。
狂暴化した複数の新人が暴れ、一人ではどうにもならなくなったのか。
それなら、兄である自分が助けてあげなくては。
第六感を駆使したら、弟の居場所はすぐに見つかった。
だがそこに広がっていたのは、フレインの想像を超えた恐ろしい光景だった。
「お、おい……いくら何でもそこまですることないだろ。何で助けてくれた上位ランカーを殺しちまったんだよ」
黒髪の新人が、髭面の新人を止めている。
だが髭面の新人は全く構うことなく、その場で穴を掘り始めた。彼の足元には、頭から血を流して倒れている弟がいる。
わけもわからず、アクセルはその場に倒れ込んだ。
兄からもらった呼び出し鈴が、地面に落ちてパキッと砕けた。
***
――アクセル……!?
鈴の音が聞こえて、フレインは急いで山の中に入った。
実を言うと、今朝からずっと嫌な予感はしていた。これもいつもの第六感みたいなもので、何かしらの事件が起こる気配を感じていたのだ。
だから弟には念のために呼び鈴を三つも持たせたし、すぐに駆け付けられるよう武器を持って山の麓をウロウロしていた。
そしたら……案の定、鈴の音が聞こえた。弟に何かあった証拠だ。
――ん? この気配は……もしや、さっきまでスレイプニルがいた?
スレイプニルの気配そのものは遠ざかっている……が、張り詰めた空気はまだ残っているみたいだった。
ここは縄張りではないから、気まぐれに通りかかっただけかもしれない。
だけど、以前新人が間違ってスレイプニルに接触した時は大変なことになったから、アクセルも同じく巻き込まれている可能性がある。
狂暴化した複数の新人が暴れ、一人ではどうにもならなくなったのか。
それなら、兄である自分が助けてあげなくては。
第六感を駆使したら、弟の居場所はすぐに見つかった。
だがそこに広がっていたのは、フレインの想像を超えた恐ろしい光景だった。
「お、おい……いくら何でもそこまですることないだろ。何で助けてくれた上位ランカーを殺しちまったんだよ」
黒髪の新人が、髭面の新人を止めている。
だが髭面の新人は全く構うことなく、その場で穴を掘り始めた。彼の足元には、頭から血を流して倒れている弟がいる。
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