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第26章~狩りの引率~
第3話
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「グオォォォ!」
「熊だ……」
どうやら自分たちは、熊の縄張りに踏み込んでしまったらしい。熊は縄張り意識が強いから、早めに出て行かないと敵と認識されてしまう。
「ピピ、逃げよう」
「ぴー!」
アクセルはサッとピピに跨り、くるりと方向転換して麓目指して下山した。
今日の目的はあくまで偵察だ。動物に危害を加えるつもりはない。さっさと帰って当日のルートを検討し直そう。
ピピの俊足で熊から逃げ去り、麓近くまで下りてくる。もう少し行けば町に出られるはずだ。ここまで来れば安心だろう。
「ありがとう、ピピ。さすがピピは頼りになるな」
「ぴー♪」
ピピから降りて褒めるように撫でてやると、ピピは誇らしげに身体をすり寄せてきた。
全力で走ったからピピもお疲れだろう。そう思ってピピに持ってきた水を与えようとした時だった。
「びぇっ!」
突然ピピが潰れたような声を出して横に吹っ飛ばされた。
ピピは近くの大木に叩きつけられ、「ぴー……」と弱々しく鳴いている。
「ピピ!」
駆け寄ろうとしたのだが、先程の熊に割って入られてしまった。
ピピに不意打ちを食らわせたのは、この熊だったようだ。
――何だよコイツ……! もう縄張りから出てるのに……!
何だか猛然と腹が立ってきた。素直に撤退したのにしつこく追撃してくるとは何事だ。そっちがその気ならこちらも容赦しない。
アクセルは熊の注意を引くように前に立ち、小太刀を抜き放って向かっていった。
「熊だ……」
どうやら自分たちは、熊の縄張りに踏み込んでしまったらしい。熊は縄張り意識が強いから、早めに出て行かないと敵と認識されてしまう。
「ピピ、逃げよう」
「ぴー!」
アクセルはサッとピピに跨り、くるりと方向転換して麓目指して下山した。
今日の目的はあくまで偵察だ。動物に危害を加えるつもりはない。さっさと帰って当日のルートを検討し直そう。
ピピの俊足で熊から逃げ去り、麓近くまで下りてくる。もう少し行けば町に出られるはずだ。ここまで来れば安心だろう。
「ありがとう、ピピ。さすがピピは頼りになるな」
「ぴー♪」
ピピから降りて褒めるように撫でてやると、ピピは誇らしげに身体をすり寄せてきた。
全力で走ったからピピもお疲れだろう。そう思ってピピに持ってきた水を与えようとした時だった。
「びぇっ!」
突然ピピが潰れたような声を出して横に吹っ飛ばされた。
ピピは近くの大木に叩きつけられ、「ぴー……」と弱々しく鳴いている。
「ピピ!」
駆け寄ろうとしたのだが、先程の熊に割って入られてしまった。
ピピに不意打ちを食らわせたのは、この熊だったようだ。
――何だよコイツ……! もう縄張りから出てるのに……!
何だか猛然と腹が立ってきた。素直に撤退したのにしつこく追撃してくるとは何事だ。そっちがその気ならこちらも容赦しない。
アクセルは熊の注意を引くように前に立ち、小太刀を抜き放って向かっていった。
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