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第25章~魂との戦い~
第28話
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目覚めてすぐに兄が倒れた時は、心臓が止まるかと思った。
結果的には二人共無事で済んだけれど、こんなとんでもないトラブルを起こしてくれたヴァルキリーのことは絶対に許さない。いつか必ず落とし前をつけてやる。
そう心に誓い、アクセルは兄に手を差し伸べた。
「さ、そろそろ帰ろう。家でピピが待ってる」
「うん……そうだね」
二人同時に泉から出て、当たり前のように並んで家に帰る。
見知った道と景色を見ていたら、少し涙が出そうになった。本当に戻ってこられてよかった……。
――帰ったら墓を作ってあげないとな……。
最高傑作のことは気の毒だと思わんでもない。でも、残念ながらアクセルにしてあげられることは何もない。せいぜい墓を作って丁重に葬ってあげることくらいだ。
「ぴー!」
家に帰った途端、ベランダからピピがすっ飛んできた。なんだか、ピピに会うのも久しぶりな気がする。
「ただいま、ピピ。心配かけてすまなかったな」
「ぴー」
「お腹空いてないか? 今ご飯作るよ。……兄上はどうする?」
「もちろん食べるよ。食料、あまり残ってないかもしれないけど」
キッチンを確認してみたら、案の定食料はそれほど残っていなかった。一食分くらいならあるけど、翌日の分は確実に足りない。
――今日は早めの夕食ってことにして、明日の朝にまた買い出しかな。
苦笑しつつ、アクセルは早速キッチンに立った。
残った野菜を切り刻み、干し肉もしっかり刻んで一緒の鍋に投入する。それを水からじっくり煮込み、灰汁を丁寧にとって野菜スープを作った。
結果的には二人共無事で済んだけれど、こんなとんでもないトラブルを起こしてくれたヴァルキリーのことは絶対に許さない。いつか必ず落とし前をつけてやる。
そう心に誓い、アクセルは兄に手を差し伸べた。
「さ、そろそろ帰ろう。家でピピが待ってる」
「うん……そうだね」
二人同時に泉から出て、当たり前のように並んで家に帰る。
見知った道と景色を見ていたら、少し涙が出そうになった。本当に戻ってこられてよかった……。
――帰ったら墓を作ってあげないとな……。
最高傑作のことは気の毒だと思わんでもない。でも、残念ながらアクセルにしてあげられることは何もない。せいぜい墓を作って丁重に葬ってあげることくらいだ。
「ぴー!」
家に帰った途端、ベランダからピピがすっ飛んできた。なんだか、ピピに会うのも久しぶりな気がする。
「ただいま、ピピ。心配かけてすまなかったな」
「ぴー」
「お腹空いてないか? 今ご飯作るよ。……兄上はどうする?」
「もちろん食べるよ。食料、あまり残ってないかもしれないけど」
キッチンを確認してみたら、案の定食料はそれほど残っていなかった。一食分くらいならあるけど、翌日の分は確実に足りない。
――今日は早めの夕食ってことにして、明日の朝にまた買い出しかな。
苦笑しつつ、アクセルは早速キッチンに立った。
残った野菜を切り刻み、干し肉もしっかり刻んで一緒の鍋に投入する。それを水からじっくり煮込み、灰汁を丁寧にとって野菜スープを作った。
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