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第22章~トーナメント・第五死合い~
第47話
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「……そうか。兄上が娼館を全滅させちゃったのは、元はと言えば俺に原因があったんだな。俺がいつまで経っても弱くて危なっかしいままだから、兄上が汚れ役を負わなきゃいけないんだ……」
「ぴー……」
「……でもおかしいな。毎日鍛錬して少しは強くなったはずなのに、何で俺はずっと弱いままなんだろう……。たまには兄上の手を煩わせることなく生活したいのに、何で何も変わらないんだろう……」
そうぼやいたら、ピピがすんすんと鼻面を擦り寄せてきた。
そしてたどたどしい口調で、こんなことを言ってきた。
「フレイン、アクセルのせわ、すき」
「え?」
「フレイン、アクセル、まもる。そのために、つよくなる」
「ああ、うん……兄上は昔からそうだったな。だから俺は、そんな兄上に憧れて、自分も強くなりたいと思って……」
するとピピは小さく首をかしげた。そして続けた。
「アクセル、つよくなった。でもフレイン、アクセルまもりたい。アクセルつよいと、フレイン、よわくなる」
「えっ……? いや、そんなことないと思うぞ? 兄上だって、ゴロゴロしているように見えて毎日鍛錬してるし……」
「フレイン、たんれんするの、アクセルのため。アクセル、つよくなったら、フレイン、たんれんしない」
「それは……」
さすがに鍛錬しないというのは極端だろうが、ピピの言うことも一理ある。
おそらく兄の根底には未だに「弟を守るのが自分の使命」という意識があり、それが自分自身のアイデンティティーにもなっているのだろう。
「ぴー……」
「……でもおかしいな。毎日鍛錬して少しは強くなったはずなのに、何で俺はずっと弱いままなんだろう……。たまには兄上の手を煩わせることなく生活したいのに、何で何も変わらないんだろう……」
そうぼやいたら、ピピがすんすんと鼻面を擦り寄せてきた。
そしてたどたどしい口調で、こんなことを言ってきた。
「フレイン、アクセルのせわ、すき」
「え?」
「フレイン、アクセル、まもる。そのために、つよくなる」
「ああ、うん……兄上は昔からそうだったな。だから俺は、そんな兄上に憧れて、自分も強くなりたいと思って……」
するとピピは小さく首をかしげた。そして続けた。
「アクセル、つよくなった。でもフレイン、アクセルまもりたい。アクセルつよいと、フレイン、よわくなる」
「えっ……? いや、そんなことないと思うぞ? 兄上だって、ゴロゴロしているように見えて毎日鍛錬してるし……」
「フレイン、たんれんするの、アクセルのため。アクセル、つよくなったら、フレイン、たんれんしない」
「それは……」
さすがに鍛錬しないというのは極端だろうが、ピピの言うことも一理ある。
おそらく兄の根底には未だに「弟を守るのが自分の使命」という意識があり、それが自分自身のアイデンティティーにもなっているのだろう。
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