2,230 / 2,770
第21章~トーナメント・第四死合い~
第49話
しおりを挟む
「お前とアロイスくんは、系統は違うけどどっちも堂々とした戦いをするタイプだからね。コニーくんみたいな飛び道具とか、チェイニーくんみたいな暗器を使うわけじゃない。だから絶対白熱した死合いになると思った。だから何としても生で観戦したくて、お前が寝た後すぐに出掛けたんだよ」
「ああ、そうだったのか。道理で……」
最後の攻撃で吹っ飛ばされ、宙を舞っていた時のことを思い出す。
あの時視界の端に兄の姿が映ったけど、あれは気のせいではなかったのか。本当に兄が観戦しに来ていたのか。死ぬ間際の幻覚ではなかったのか。
そう思った途端、別の懸念が頭に浮かんできた。
「あの、兄上……俺、ちゃんと戦えていたか? 誰が見ても恥ずかしくない死合いができていたか?」
「やだな、何を気にしてるの? 贔屓目抜きで、お前は本当にいい死合いをしていたよ。スタジアムもここ一番盛り上がっていた。心配無用だね」
「そ、そうか……。俺、本当に夢中で周りのことなんて全然見えてなくて……。自分は楽しかったけど観客はどうだったかなって、今更ながら気になってしまった」
「それでいいんだよ。周りを忘れるくらい楽しい死合いだったなら、見ている側も絶対楽しんでるからね」
そう言って兄は、優しくこちらの頭を撫でてくれた。
「まずはお疲れ様。よく頑張ったね、いい子いい子」
「……ありがとう。あとは結果がどうなるかだな」
「大丈夫。これでまた失格とかになってたら、今度こそお兄ちゃんがクレーム入れに行ってあげる」
それは心強い限りだ。
「ああ、そうだったのか。道理で……」
最後の攻撃で吹っ飛ばされ、宙を舞っていた時のことを思い出す。
あの時視界の端に兄の姿が映ったけど、あれは気のせいではなかったのか。本当に兄が観戦しに来ていたのか。死ぬ間際の幻覚ではなかったのか。
そう思った途端、別の懸念が頭に浮かんできた。
「あの、兄上……俺、ちゃんと戦えていたか? 誰が見ても恥ずかしくない死合いができていたか?」
「やだな、何を気にしてるの? 贔屓目抜きで、お前は本当にいい死合いをしていたよ。スタジアムもここ一番盛り上がっていた。心配無用だね」
「そ、そうか……。俺、本当に夢中で周りのことなんて全然見えてなくて……。自分は楽しかったけど観客はどうだったかなって、今更ながら気になってしまった」
「それでいいんだよ。周りを忘れるくらい楽しい死合いだったなら、見ている側も絶対楽しんでるからね」
そう言って兄は、優しくこちらの頭を撫でてくれた。
「まずはお疲れ様。よく頑張ったね、いい子いい子」
「……ありがとう。あとは結果がどうなるかだな」
「大丈夫。これでまた失格とかになってたら、今度こそお兄ちゃんがクレーム入れに行ってあげる」
それは心強い限りだ。
0
お気に入りに追加
844
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?
桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。
前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。
ほんの少しの間お付き合い下さい。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる