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第21章~トーナメント・第四死合い~
第49話
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「お前とアロイスくんは、系統は違うけどどっちも堂々とした戦いをするタイプだからね。コニーくんみたいな飛び道具とか、チェイニーくんみたいな暗器を使うわけじゃない。だから絶対白熱した死合いになると思った。だから何としても生で観戦したくて、お前が寝た後すぐに出掛けたんだよ」
「ああ、そうだったのか。道理で……」
最後の攻撃で吹っ飛ばされ、宙を舞っていた時のことを思い出す。
あの時視界の端に兄の姿が映ったけど、あれは気のせいではなかったのか。本当に兄が観戦しに来ていたのか。死ぬ間際の幻覚ではなかったのか。
そう思った途端、別の懸念が頭に浮かんできた。
「あの、兄上……俺、ちゃんと戦えていたか? 誰が見ても恥ずかしくない死合いができていたか?」
「やだな、何を気にしてるの? 贔屓目抜きで、お前は本当にいい死合いをしていたよ。スタジアムもここ一番盛り上がっていた。心配無用だね」
「そ、そうか……。俺、本当に夢中で周りのことなんて全然見えてなくて……。自分は楽しかったけど観客はどうだったかなって、今更ながら気になってしまった」
「それでいいんだよ。周りを忘れるくらい楽しい死合いだったなら、見ている側も絶対楽しんでるからね」
そう言って兄は、優しくこちらの頭を撫でてくれた。
「まずはお疲れ様。よく頑張ったね、いい子いい子」
「……ありがとう。あとは結果がどうなるかだな」
「大丈夫。これでまた失格とかになってたら、今度こそお兄ちゃんがクレーム入れに行ってあげる」
それは心強い限りだ。
「ああ、そうだったのか。道理で……」
最後の攻撃で吹っ飛ばされ、宙を舞っていた時のことを思い出す。
あの時視界の端に兄の姿が映ったけど、あれは気のせいではなかったのか。本当に兄が観戦しに来ていたのか。死ぬ間際の幻覚ではなかったのか。
そう思った途端、別の懸念が頭に浮かんできた。
「あの、兄上……俺、ちゃんと戦えていたか? 誰が見ても恥ずかしくない死合いができていたか?」
「やだな、何を気にしてるの? 贔屓目抜きで、お前は本当にいい死合いをしていたよ。スタジアムもここ一番盛り上がっていた。心配無用だね」
「そ、そうか……。俺、本当に夢中で周りのことなんて全然見えてなくて……。自分は楽しかったけど観客はどうだったかなって、今更ながら気になってしまった」
「それでいいんだよ。周りを忘れるくらい楽しい死合いだったなら、見ている側も絶対楽しんでるからね」
そう言って兄は、優しくこちらの頭を撫でてくれた。
「まずはお疲れ様。よく頑張ったね、いい子いい子」
「……ありがとう。あとは結果がどうなるかだな」
「大丈夫。これでまた失格とかになってたら、今度こそお兄ちゃんがクレーム入れに行ってあげる」
それは心強い限りだ。
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