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第21章~トーナメント・第四死合い~
第48話
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「ああ。よくわからんけど、運がよかったみたいだ。……だからほら、もう家に帰ろう。ピピもお腹を空かせているだろうし」
微妙な顔をしている兄を引っ張って、アクセルは家に帰った。帰った途端、ピピが小屋からすっ飛んできて、「早くご飯をくれ」とせっついてきた。
自分も腹が減っていたので一緒に何か作ろう……とキッチンに立っていると、兄も食料庫をガサガサ漁り始めた。そしてこんなことを言い出した。
「今思い出したけど、シグルーンって私たちが革命起こした時に戦ったヴァルキリーだ」
「……えっ? そうなのか?」
「うん。随分昔の話だけどね。他にも戦ったヴァルキリーはたくさんいたけど、彼女は特に強かった覚えがあるよ」
「そうか……やっぱりな。彼女、見るからに強そうだったから」
「おや。お前も、見ただけで相手の強さがわかるようになったのかい?」
「それは、まあ……。毎日粒揃いの猛者ばかり見てると、だんだんそういう目も肥えてくるのかもしれないな」
「すごいじゃないか。お前の成長には驚かされてばかりだ」
「いや……兄上に比べればまだまださ」
だけど、そう言われて悪い気はしない。少しずつでも自分が成長していっているのなら、嬉しい限りだ。
アクセルは昼食を作りながら話を変えた。
「俺のことはともかく、兄上は? 魂のメンテナンスとやらは終わったのか?」
「うん、それはバッチリ。職員には嫌な顔されたけど、無理を言って『なるはや』で終わらせてもらったんだ。どーしてもお前の死合いを見たかったからさ」
「え……?」
微妙な顔をしている兄を引っ張って、アクセルは家に帰った。帰った途端、ピピが小屋からすっ飛んできて、「早くご飯をくれ」とせっついてきた。
自分も腹が減っていたので一緒に何か作ろう……とキッチンに立っていると、兄も食料庫をガサガサ漁り始めた。そしてこんなことを言い出した。
「今思い出したけど、シグルーンって私たちが革命起こした時に戦ったヴァルキリーだ」
「……えっ? そうなのか?」
「うん。随分昔の話だけどね。他にも戦ったヴァルキリーはたくさんいたけど、彼女は特に強かった覚えがあるよ」
「そうか……やっぱりな。彼女、見るからに強そうだったから」
「おや。お前も、見ただけで相手の強さがわかるようになったのかい?」
「それは、まあ……。毎日粒揃いの猛者ばかり見てると、だんだんそういう目も肥えてくるのかもしれないな」
「すごいじゃないか。お前の成長には驚かされてばかりだ」
「いや……兄上に比べればまだまださ」
だけど、そう言われて悪い気はしない。少しずつでも自分が成長していっているのなら、嬉しい限りだ。
アクセルは昼食を作りながら話を変えた。
「俺のことはともかく、兄上は? 魂のメンテナンスとやらは終わったのか?」
「うん、それはバッチリ。職員には嫌な顔されたけど、無理を言って『なるはや』で終わらせてもらったんだ。どーしてもお前の死合いを見たかったからさ」
「え……?」
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