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第20章~トーナメント・第三死合い~
第95話
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すぐさま追撃したかったが、力が入らず絶好の機会を逃してしまった。
今の一撃で肺に残っていたわずかな空気が全部外に出てしまい、ますます呼吸が苦しくなる。
――ああ、くそ……力が入らない……!
普段は呼吸と共に力を込めて武器を振るうので、その呼吸が上手くできないと力も上手く込められない。
人を斬るにもそれなりの力が必要なので、今の状態ではちゃんと斬れるか自信がなかった。例え武器の切れ味を上げていたとしても、自分自身がなまくらでは意味がない。
――こうなったら……!
力は込めず、わざと空振りさせるように小太刀を振るう。
狂戦士モードの時だけ使える風の刃が飛び出し、空気を切り裂いてチェイニーに襲い掛かった。
半ばヤケクソ気味に振った刃は、チェイニーの四肢を飛ばし、胴体を抉って致命傷を与えた。
「は、は……もう、やっぱり敵わない、なぁ……」
そんなチェイニーの声が聞こえたような気がした。
チェイニーは全身をバラバラにされ、スタジアムの地面に転がった。それと同時に幻術も完全に解けた。
スタジアムの四隅に突き刺さった矢は、砂のようにボロボロ崩れて風に流れていった。
「勝者、アクセル! 遺体回収班は遺体を回収してください」
天からヴァルキリーの声が聞こえてくる。
だけど目の前の状況を観察する余裕は、アクセルにはもうなかった。
――いや……俺の方こそ、全然敵わないよ……。
もう意識が保てない。息ができないし、声も出せない。
今の一撃で肺に残っていたわずかな空気が全部外に出てしまい、ますます呼吸が苦しくなる。
――ああ、くそ……力が入らない……!
普段は呼吸と共に力を込めて武器を振るうので、その呼吸が上手くできないと力も上手く込められない。
人を斬るにもそれなりの力が必要なので、今の状態ではちゃんと斬れるか自信がなかった。例え武器の切れ味を上げていたとしても、自分自身がなまくらでは意味がない。
――こうなったら……!
力は込めず、わざと空振りさせるように小太刀を振るう。
狂戦士モードの時だけ使える風の刃が飛び出し、空気を切り裂いてチェイニーに襲い掛かった。
半ばヤケクソ気味に振った刃は、チェイニーの四肢を飛ばし、胴体を抉って致命傷を与えた。
「は、は……もう、やっぱり敵わない、なぁ……」
そんなチェイニーの声が聞こえたような気がした。
チェイニーは全身をバラバラにされ、スタジアムの地面に転がった。それと同時に幻術も完全に解けた。
スタジアムの四隅に突き刺さった矢は、砂のようにボロボロ崩れて風に流れていった。
「勝者、アクセル! 遺体回収班は遺体を回収してください」
天からヴァルキリーの声が聞こえてくる。
だけど目の前の状況を観察する余裕は、アクセルにはもうなかった。
――いや……俺の方こそ、全然敵わないよ……。
もう意識が保てない。息ができないし、声も出せない。
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