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第20章~トーナメント・第三死合い~
第67話
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「ぴー」
軽く準備体操をしていたら、小屋からピピが出てきた。
その後アクセルはピピと庭を駆け回ったり、素振りや筋トレを行ったりして夕方までみっちり身体を鍛えた。
日が暮れて夕食は何にしようかと考えていたら、兄が外から帰って来た。
「ただいま~」
「おかえり、兄上。どこに行ってたんだ?」
「ヴァルハラからちょっと離れた鉱山にね。そういや最近、武器のメンテナンスしてないなぁと思ったんで、ついでに玉鋼を採掘してきたの」
そう言って、兄が持っていた巾着袋をひっくり返す。中からはやや小ぶりな玉鋼が複数出てきた。発掘したてなので、周りに土や石がこびりついている。
「お前、次の死合いはチェイニーくんが相手なんだよね? だったら武器のメンテナンスもしっかりしておきなさい。これ好きに使っていいから、最低限切れ味くらいは上げておきなさいね」
と、兄が玉鋼を全部こちらに差し出してくる。
意外なプレゼントに驚いて、アクセルは兄を見た。
「あ、ありがとう……。武器のことなんて忘れてた……」
「やだなぁ、お前それじゃ戦士失格だよ。せっかくしっかり身体鍛えてるのに、武器がボロボロじゃ実力を発揮できないじゃない」
「ボロボロのつもりはなかったが……確かにそうだな。たまには強化してくるか」
アクセルはテーブルに散らばった玉鋼を回収し、巾着に詰め込んだ。
小ぶりとはいえ、これだけの玉鋼を採掘するのはそれなりの時間と労力がかかったと思う。こうやってさり気ないところで思いやりを見せてくれるから、何をされても完全には憎めないのだ。……いや、もちろん浮気は嫌だけど。
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アクセルはテーブルに散らばった玉鋼を回収し、巾着に詰め込んだ。
小ぶりとはいえ、これだけの玉鋼を採掘するのはそれなりの時間と労力がかかったと思う。こうやってさり気ないところで思いやりを見せてくれるから、何をされても完全には憎めないのだ。……いや、もちろん浮気は嫌だけど。
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