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第20章~トーナメント・第三死合い~

第38話

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「……え? そんな簡単に治るのか?」
「多分ね。とりあえず明日まで家で大人しくして、それでも治ってなかったら私が昨日の売り子にいろいろ聞いてくるよ」
「……わかったよ……」

 溜息をつきつつ、「頼むから早く治ってくれ……」と心の中で祈る。

 チェイニーの死合いを見に行けないのはともかく、トーナメントの三回戦が不戦敗になるのだけは絶対に嫌だった。

 ここまで頑張って勝ち上がってきたのに、こんなわけのわからない栄養ドリンクのせいで外出ができなくなるなんて、そんなふざけた話があるか。今までの努力が水の泡じゃないか。

「さ、気を取り直して顔を洗おうか。自分でできる?」
「できるに決まってるだろ……。子供じゃないんだから」

 力が落ちているとはいえ、十六歳なら大抵のことはできる。ある意味、この程度の若返りで済んでよかったかもしれない。

 顔を洗い、普段着に着替えて朝食を作る。

 コーヒーを入れている間に、郵便物を取ろうと玄関先のポストに行こうとしたら兄に止められた。

 代わりに兄が取ってきてくれたが、こんな風に念を押される。

「郵便物は私が取るから、お前は家にいなさい。誰かが訪ねて来ても、今日は無視しちゃっていいから」
「え……いいのか?」
「いいよ。その姿を誰かに見られる方が心配だ。力も弱くなってるみたいだし、何かあったら大変だからね」
「何かって、一体何があるって言うん……」

 そう言いかけたら、兄に人差し指で唇を押さえられた。
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