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第20章~トーナメント・第三死合い~
第10話*
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ようやく口が解放されて、アクセルは何度かゲホゲホ咳き込んだ。口も乾いていたけれど、なんとか擦れた声を言葉を絞り出す。
「ごめ……。兄上の気持ち、ちゃんと考えられていなかった……。余計なこと言って、すみませんでした……」
「……うん」
「それと……死合い後のケアも、ありがと……。刺さってる矢、全部抜いて棺に運んでくれたんだよな……? ほんとに、感謝してる……」
「……そうだね」
兄が軽く額に口付けてきた。そして苦笑しつつもこんなことを言った。
「……まあ、正直浮気を疑われるのは当然かなと思ってた。私にとっては浮気とは言えないことでも、お前にとっては浮気になるんだもんね。家で誰かと食事をしただけで浮気になるのなら、あれだけ大量のカレーが残っていれば疑いたくなるのも当然だ」
「……!」
「それでも、やっぱり疑われたくはなかったな。私は別に浮気をしたいわけじゃなくて、ただ単にお前がいない間の時間を潰したかっただけなんだ。その方法は何でもよくて、友人と食事したり宴に出掛けたりしてもいい。他人の家に泊めてもらうのもアリだと思ってる」
「…………」
アクセルとしては「ナシ」だけど、そこは考え方の違いなのだろう。
「でも、友人との食事はお前に『浮気だ!』って怒られちゃうから今回はやめた。復活早々お前と喧嘩するのも嫌だしね。そう思っての選択だったのに……初っ端から疑われちゃって、なんかイラッとしたんだ。私はお前の考え方を優先して寂しいのを我慢したけど、結局何をしても疑われるんじゃ意味ないじゃないか……って。これならジークやユーベルと食事してた方がよかったかも……ってさ」
「……ごめんなさい……」
「ごめ……。兄上の気持ち、ちゃんと考えられていなかった……。余計なこと言って、すみませんでした……」
「……うん」
「それと……死合い後のケアも、ありがと……。刺さってる矢、全部抜いて棺に運んでくれたんだよな……? ほんとに、感謝してる……」
「……そうだね」
兄が軽く額に口付けてきた。そして苦笑しつつもこんなことを言った。
「……まあ、正直浮気を疑われるのは当然かなと思ってた。私にとっては浮気とは言えないことでも、お前にとっては浮気になるんだもんね。家で誰かと食事をしただけで浮気になるのなら、あれだけ大量のカレーが残っていれば疑いたくなるのも当然だ」
「……!」
「それでも、やっぱり疑われたくはなかったな。私は別に浮気をしたいわけじゃなくて、ただ単にお前がいない間の時間を潰したかっただけなんだ。その方法は何でもよくて、友人と食事したり宴に出掛けたりしてもいい。他人の家に泊めてもらうのもアリだと思ってる」
「…………」
アクセルとしては「ナシ」だけど、そこは考え方の違いなのだろう。
「でも、友人との食事はお前に『浮気だ!』って怒られちゃうから今回はやめた。復活早々お前と喧嘩するのも嫌だしね。そう思っての選択だったのに……初っ端から疑われちゃって、なんかイラッとしたんだ。私はお前の考え方を優先して寂しいのを我慢したけど、結局何をしても疑われるんじゃ意味ないじゃないか……って。これならジークやユーベルと食事してた方がよかったかも……ってさ」
「……ごめんなさい……」
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