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第19章~トーナメント・第二死合い~
第50話
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そう力説したのだが、兄はますます呆れた顔をしてこちらの頭をペシンと叩いてきた。いきなり叩かれたので何事かと思った。
「お前、仮にもヴァルハラに招かれた戦士なのに、上位ランカーに弓使いがいない理由もわからないのかい? 弓は一対一の戦いに向かないんだよ。接近戦にも弱いし」
「それは……わかってますが」
「コニーくんの早撃ちがどれだけすごいのか知らないけど、どんなにすごかろうが懐に飛び込まれたら何もできない。そしてお前の武器は接近戦に強い。要は、いつも通り戦えばいいんだよ。何も心配する必要ないね」
「…………」
兄に断言されても、薄っすらとした不安は拭えなかった。負けてはいけないというプレッシャーと、このままでは勝てないんじゃないかという考えが同時に襲ってきて、居てもたってもいられない気分だったのだ。
「じゃ、じゃあ……一緒に洞窟踏破してくれないか?」
「え、一緒に?」
「う、うん……。あれだけの一斉射撃は、狂戦士モードを持続させないと勝てないから……。そのためにあの洞窟を踏破したいんだ……。でも、その……一人だと、無事に出てこられるか心配だし……ほら、死合いに間に合わなかったら困るからさ……」
「…………」
「だから、兄上も一緒に来てくれたら心強いなと……」
「…………」
「……ええと……」
無言でこちらを眺めてくる兄。
うんともすんとも言わないのを見たら、だんだん罪悪感が芽生えてきた。
「お前、仮にもヴァルハラに招かれた戦士なのに、上位ランカーに弓使いがいない理由もわからないのかい? 弓は一対一の戦いに向かないんだよ。接近戦にも弱いし」
「それは……わかってますが」
「コニーくんの早撃ちがどれだけすごいのか知らないけど、どんなにすごかろうが懐に飛び込まれたら何もできない。そしてお前の武器は接近戦に強い。要は、いつも通り戦えばいいんだよ。何も心配する必要ないね」
「…………」
兄に断言されても、薄っすらとした不安は拭えなかった。負けてはいけないというプレッシャーと、このままでは勝てないんじゃないかという考えが同時に襲ってきて、居てもたってもいられない気分だったのだ。
「じゃ、じゃあ……一緒に洞窟踏破してくれないか?」
「え、一緒に?」
「う、うん……。あれだけの一斉射撃は、狂戦士モードを持続させないと勝てないから……。そのためにあの洞窟を踏破したいんだ……。でも、その……一人だと、無事に出てこられるか心配だし……ほら、死合いに間に合わなかったら困るからさ……」
「…………」
「だから、兄上も一緒に来てくれたら心強いなと……」
「…………」
「……ええと……」
無言でこちらを眺めてくる兄。
うんともすんとも言わないのを見たら、だんだん罪悪感が芽生えてきた。
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