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第19章~トーナメント・第二死合い~

第25話

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 そう言われて、アクセルはやや気後れをした。

 一応、麓までは行ってみたから、恐ろしいかどうかくらいはわかっている。本当はもっと奥に踏み込むつもりだったけれど、結局ピピに止められて帰ってきてしまった。

 だけど、今思えば止められて正解だった気がする。

 実際兄は、アクセルが寝ている間にこっそり帰ってきて、何事もなかったように出て行こうとした。今もロクな事情も説明せず、「お前は家に戻れ」の一点張りで済まそうとしている。

 それもこれも、弟を危険な目に遭わせたくないから。

 こんな深夜に帰ってきたのも弟に見つかりたくなかったからだし、見つかったら最後、絶対に「何があったんだ」と問い詰められるに決まっている。説明したらしたで「じゃあ俺も行く」と言い出すのが目に見えているし、それを説得しているのも単純なタイムロスだ。

 だったら弟に気付かれないうちに仕事を終わらせ、何事もなかったように帰ってくるのが一番だと判断したのだろう。

 水臭いようにも思えるが、これが兄なりの親心なのだ。

「……。……わかったよ」

 やむなく、アクセルは視線を落とした。本当は兄の手伝いをしたかったけれど、ついて行けないのなら仕方がない。

 この場で自分が言えるのは、この一言だけだ。

「……どうか気をつけて。必ず無事で帰ってきてくれよ?」
「うん、もちろん。帰ったらいろいろ説明してあげるね」

 ぽんぽんと頭を撫で、兄は颯爽と出て行った。

 一人残されたアクセルは、とぼとぼと自分のベッドに戻った。
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