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第18章~トーナメント初戦~
第29話
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「戦いの前に心が高揚すると、誰でもそんな風に震えることがある。戦士の血が騒ぐというか、緊張とはまた違った震えなんだよね」
「そうなのか? 兄上でも震えることがあるのか?」
「もちろんさ。どんな死合いができるのかなぁって、考えるだけでワクワクするもんね。命を賭けたギリギリの戦いは、何回経験しても興奮するよ」
そう言いつつ、兄は楽しそうに笑っていたものだ。
――まあそうだよな。それでこそ、ヴァルハラの戦士というものだ。
一度戦い始めると、相手が誰であろうと嬉々として武器を振るってしまう。最初は緊張していても、戦闘に入った途端我を忘れて熱中してしまう。死ぬことなど恐れない。
そういう素質があるからこそ、こうしてヴァルハラで生きていられるのだろう。
「……よし」
ひとつ前の死合いが終わったので、いよいよ自分の番となった。
アクセルは控え室のベンチから立ち上がり、スタジアムの入場口から戦いの広場に出た。
反対側の入場口からは、ハンマーを持ったおしゃれ髭のショーンが出てくる。
観客の熱気は十分高まっており、始まる前から怒号や怒声が飛び交っていた。
「おい今度は面白い死合いやってくれよ!」
「さっきはつまんねー死合い見せやがってよー!」
「どうせなら、お互いボロボロになるまで戦えよなー!」
おおまかにこんな感じの怒号が聞こえてきたので、前の死合いがあっさり終わってしまったことが想像できた。スタジアムも比較的綺麗なままだし、おそらくものの数分で決着がついてしまったのだろう。
「そうなのか? 兄上でも震えることがあるのか?」
「もちろんさ。どんな死合いができるのかなぁって、考えるだけでワクワクするもんね。命を賭けたギリギリの戦いは、何回経験しても興奮するよ」
そう言いつつ、兄は楽しそうに笑っていたものだ。
――まあそうだよな。それでこそ、ヴァルハラの戦士というものだ。
一度戦い始めると、相手が誰であろうと嬉々として武器を振るってしまう。最初は緊張していても、戦闘に入った途端我を忘れて熱中してしまう。死ぬことなど恐れない。
そういう素質があるからこそ、こうしてヴァルハラで生きていられるのだろう。
「……よし」
ひとつ前の死合いが終わったので、いよいよ自分の番となった。
アクセルは控え室のベンチから立ち上がり、スタジアムの入場口から戦いの広場に出た。
反対側の入場口からは、ハンマーを持ったおしゃれ髭のショーンが出てくる。
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「おい今度は面白い死合いやってくれよ!」
「さっきはつまんねー死合い見せやがってよー!」
「どうせなら、お互いボロボロになるまで戦えよなー!」
おおまかにこんな感じの怒号が聞こえてきたので、前の死合いがあっさり終わってしまったことが想像できた。スタジアムも比較的綺麗なままだし、おそらくものの数分で決着がついてしまったのだろう。
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