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第18章~トーナメント初戦~
第9話
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「じゃあ俺は素振りしてるからな。危ないからあまり近づいちゃダメだぞ」
そう言ってアクセルは、新しい丸太を二センチ間隔で二本立て、その隙間に両手の小太刀を交互に振り下ろした。
どんなに強い戦士が相手でも、こういった基本的な鍛錬を疎かにしてはならない。地味な素振りを繰り返すことで、自分の身体に正確な太刀筋が沁みついていくのだ。
最近は太刀筋もほとんどブレなくなってきたし、これなら死合いの時も困らなくて済むかな……と思っていると、
「ぴー!」
唐突に、ピピが横から頭突きをしてきた。
「ぶへっ……!」
いきなりのことで受け身が取れず、小太刀を握ったまま吹っ飛ばされてしまう。
ピピはアクセルなどおかまいなしに、素振り用に立てた丸太をガリガリ齧り始めた。
「ちょ……ピピ、何してるんだよ? きみ専用の丸太はさっき小屋の前に置いただろ。こら、いい加減にしなさい」
「ぴー」
「あーあー……またボロボロにしちゃって……。何なんだ? あの古いのじゃ気に入らないのか? 新しい丸太が欲しいのか?」
「ぴ……」
「……よくわからないな。きみは一体何を求めているんだ?」
ボロボロになった丸太では鍛錬ができないので、仕方なくアクセルはまた新しい丸太に取り替えた。先程取り替えたばかりなのに、こうも丸太の消費が激しいと訓練に支障が出てしまう。困ったものだ。
「ぴー……」
ピピはじっとこちらを見つめ、もぐもぐと口を動かした。そしてたどたどしい口調でこんなことを言い出した。
そう言ってアクセルは、新しい丸太を二センチ間隔で二本立て、その隙間に両手の小太刀を交互に振り下ろした。
どんなに強い戦士が相手でも、こういった基本的な鍛錬を疎かにしてはならない。地味な素振りを繰り返すことで、自分の身体に正確な太刀筋が沁みついていくのだ。
最近は太刀筋もほとんどブレなくなってきたし、これなら死合いの時も困らなくて済むかな……と思っていると、
「ぴー!」
唐突に、ピピが横から頭突きをしてきた。
「ぶへっ……!」
いきなりのことで受け身が取れず、小太刀を握ったまま吹っ飛ばされてしまう。
ピピはアクセルなどおかまいなしに、素振り用に立てた丸太をガリガリ齧り始めた。
「ちょ……ピピ、何してるんだよ? きみ専用の丸太はさっき小屋の前に置いただろ。こら、いい加減にしなさい」
「ぴー」
「あーあー……またボロボロにしちゃって……。何なんだ? あの古いのじゃ気に入らないのか? 新しい丸太が欲しいのか?」
「ぴ……」
「……よくわからないな。きみは一体何を求めているんだ?」
ボロボロになった丸太では鍛錬ができないので、仕方なくアクセルはまた新しい丸太に取り替えた。先程取り替えたばかりなのに、こうも丸太の消費が激しいと訓練に支障が出てしまう。困ったものだ。
「ぴー……」
ピピはじっとこちらを見つめ、もぐもぐと口を動かした。そしてたどたどしい口調でこんなことを言い出した。
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