転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第17章~トーナメントに向けて~

第65話

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 人肉が焼ける臭いは精神衛生上よろしくない。この臭いが強烈であればあるほど、自分の命が漏れ出ていっている気がする。早く砂を渡り切らないと、足元から燃え尽きてしまいそうだ。

 そんなことになったら、さすがに棺に入っても復活はできない。骨だけの状態では蘇生するのは不可能だ。

 ――余計なことを考えるな……! とにかく平常心でいないと……!

 集中力を保つべく、アクセルは気合いを入れ直した。

 あと少し……あと少しで終わる……! あと五メートル……三メートル……。

「や、やった……!」

 どうにか砂を渡り切り、安堵の息を吐く。

 自分にはなかなかキツい修行だったが、無事にクリアできてよかった。これで自分も、少しは狂戦士モードを保てるようになっただろうか……。

「……ぎゃあッ!」

 だが次の瞬間、急に足元から耐え難い激痛が襲ってきた。

 立っていられず、がくりと膝をつき、その場に倒れ込んで悶絶する。

「う、ぐ……あ……」

 文字通り、焼けるような痛みだった。足の裏から足首辺りがジリジリ焼け、その痛みがじわじわと這い上がってくるような感覚がする。これなら、足を切り落とされた方が数倍マシに思えてきた。

「ああホラ、終わったからって気を抜くから……」

 兄が駆け寄ってきて、すぐさま助け起こしてくれる。
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