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第17章~トーナメントに向けて~

第62話

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「まあ、少しくらいはな。いつまでも弱いままではいられないし」
「いいことだよ。帰ったらもっと詳しく体幹の強さチェックをしてあげるね」
「……えっ?」

 どういう意味か聞き返す前に、兄は次の修行に移ってしまった。

 次はケイジもやっていた、裸足で熱い砂の上を渡るものだった。

「さてと、じゃあサクッと歩いちゃおうかな」

 そう言って、当たり前に靴を脱ぎ始める兄。そしてそのまま砂の上を歩こうとするので、さすがにぎょっとした。いくら修行でも、そんなことをしたら足の裏が焼けてしまう。足が焼けたら歩いて帰れない。

「あ、兄上、裸足はマズいって! ちゃんと靴は履いてくれ!」
「え? 靴を履いたら修行にならないじゃない」
「でも足が焼けちゃうだろ! それじゃ家に帰れなくなってしまう」
「そんなの狂戦士モードになれば問題ないでしょ」
「…………えっ?」
「まさか素のままやると思った? さすがにそれは私でも無理だよ。そんなの修行じゃなくて拷問だもの」
「そ、そうだよな……」

 冷静に考えたら当たり前だ。普通の状態で歩くだなんて、ケイジみたいな変態でもない限り不可能である。

「この砂は、どんな刺激を受けても狂戦士モードを保っていられるように訓練するものだね。あとは、モードの切り替えをスムーズにできるようにかな。雄叫びを上げずに狂戦士モードに突入できれば、それだけ戦闘も有利になるからね」
「なるほど……」
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