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第17章~トーナメントに向けて~

第58話

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「まあね……。それでも心配になっちゃうのは、私が過保護すぎるのかな」
「いや、俺が不注意なだけだ。とにかく、お互い連絡は怠らないようにしよう。俺もなるべく気を付けるから、兄上も勝手にどこか行かないでくれよな」
「もちろんさ。どんなことがあっても、私は必ずお前の元に帰るよ」

 長い腕で引き寄せられ、軽くハグされた後キスまでされてしまった。

 何というか……本当に自分は兄に愛されまくっているなと思う。もったいないくらいだ。

「さて、そろそろ夕飯にしようか。たくさん鍛錬して疲れただろう? 栄養価のある食事を作るから、お前はピピちゃんとお風呂でも入っておいで」
「ああ、わかった」

 言われた通り、アクセルは外の露天風呂に浅く湯を張り、そこでピピと自分の身体を洗った。

 大人しく泡まみれになっているピピに、アクセルは改めて礼を言った。

「ピピ、さっき横道に逸れそうだったのを止めてくれてありがとう。助かったよ」
「ぴー」
「というか、あの道は一体何だったんだろうな? 兄上は、ケイジ様が作ったものじゃないって言ってたし……。ただの獣道だったのかな」

 するとピピはチラリとこちらに視線を送り、たどたどしい口調でこう答えた。

「げんえいのみち」
「えっ……?」
「あのみち、へんないきものでる。ほんものじゃない、ほんものみたいないきもの」
「……何だそれ? そんな道があるのか? 何でそんな道があんなところに?」
「ぴ……」

 それは知らない、と首を振るピピ。
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