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第17章~トーナメントに向けて~
第56話
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「秘訣ねぇ……」
兄は顎に手を当てて首を捻った。何かを考えているみたいだったが、結局兄の口から出てきたのはこんな言葉だった。
「それはやっぱり、ひたすら注意するしかないと思うよ? 危なそうな場所には極力足を踏み入れない。例え気になっても、自分一人で調査しようとしない。『俺は罠にかかりやすい人間なんだ』と自分自身に言い聞かせる。それくらいしか対処方法ないと思うよ。危険な目に遭いづらい人ってのは、基本的に用心深いからね」
「そ、そうだよな……」
「ただ、お前が罠にかかりやすくなっちゃったのは、ある意味私のせいでもあるんだ。お前のことが可愛すぎるあまり、先回りして危ないものを全部取り除いて来ちゃったからね。お前自身も『気を付けなきゃ』と思う一方、心のどこかで『ピンチになっても兄上が助けてくれる』って思っている節がある。これはもう幼い頃からの擦り込みだから、今更直すってのは不可能な気がするよ」
「それは……」
「……だからその分、私が責任持って守ってあげなくちゃいけないんだ。とはいえ、私の身体はひとつしかないし、エスパーでもないからお前のピンチに間に合わない可能性もある。そうならないように、なるべく一人で知らない場所に行かないで欲しいんだよ。それ以外の行動は自由で構わないから、私をヒヤヒヤさせる行動は慎んで欲しい」
「…………」
「お前を失ったら、私は生きていけないからね……」
「兄上……」
兄の気持ちが、痛いほど伝わってきた。
兄は顎に手を当てて首を捻った。何かを考えているみたいだったが、結局兄の口から出てきたのはこんな言葉だった。
「それはやっぱり、ひたすら注意するしかないと思うよ? 危なそうな場所には極力足を踏み入れない。例え気になっても、自分一人で調査しようとしない。『俺は罠にかかりやすい人間なんだ』と自分自身に言い聞かせる。それくらいしか対処方法ないと思うよ。危険な目に遭いづらい人ってのは、基本的に用心深いからね」
「そ、そうだよな……」
「ただ、お前が罠にかかりやすくなっちゃったのは、ある意味私のせいでもあるんだ。お前のことが可愛すぎるあまり、先回りして危ないものを全部取り除いて来ちゃったからね。お前自身も『気を付けなきゃ』と思う一方、心のどこかで『ピンチになっても兄上が助けてくれる』って思っている節がある。これはもう幼い頃からの擦り込みだから、今更直すってのは不可能な気がするよ」
「それは……」
「……だからその分、私が責任持って守ってあげなくちゃいけないんだ。とはいえ、私の身体はひとつしかないし、エスパーでもないからお前のピンチに間に合わない可能性もある。そうならないように、なるべく一人で知らない場所に行かないで欲しいんだよ。それ以外の行動は自由で構わないから、私をヒヤヒヤさせる行動は慎んで欲しい」
「…………」
「お前を失ったら、私は生きていけないからね……」
「兄上……」
兄の気持ちが、痛いほど伝わってきた。
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