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第17章~トーナメントに向けて~
第19話
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「ケ、ケイジ様……? こちらにいらっしゃったんですか……?」
「うむ。ここは人がほとんど来なくて快適なのでな。好きなだけ修行ができるのだ」
……そりゃあ、こんな険しい道を乗り越えてまで訪れるような酔狂な人は、滅多にいないだろう。
「まあ、ここまでよく来たものだ。今日は好きなだけ鍛錬していくがよい」
「あ、ありがとうございます……。ですが、ここに辿り着く前に持ってきた水を全部消費してしまったので……。道中もなかなか大変でしたし、今日は見学だけさせていただきます」
「む、そうなのか。それなりに苦労をしたのだな」
あなたがこんなところに修行場を作らなければ、そこまで苦労はしなかったんですけどね……と、心の中でツッコむ。
そんなケイジは、それ以上構うことなく黙々と鍛錬を再開した。
巨大な丸太を三本担いだまま、光沢のある細い鉄棒の上を歩いている。しかもその下は深い落とし穴になっていて、殺意剥き出しの木の杭が何本も上向いていた。
――うわあぁ……! これ、ほとんど拷問じゃないか……。
ハラハラしながらケイジを見守る。
一歩でも足を踏み外せば、下に真っ逆さまだ。丸太を担いでいるので普段より動きも鈍く、バランスを保つだけでも相当大変なのがわかる。しかも落下すればほぼ確定で死ぬという、とんでもなくスリル満点の修行だった。
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――うわあぁ……! これ、ほとんど拷問じゃないか……。
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一歩でも足を踏み外せば、下に真っ逆さまだ。丸太を担いでいるので普段より動きも鈍く、バランスを保つだけでも相当大変なのがわかる。しかも落下すればほぼ確定で死ぬという、とんでもなくスリル満点の修行だった。
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