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第16章~里帰り~
第30話
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「オレたちは知り合いを知らなかったんだ! 知らないヤツは変なヤツと同じだ! だから兄ちゃんがボコボコにしたんだよ! 兄ちゃんは強いんだ!」
「おだまり。知らない人だからって、いきなりボコボコにするバカがどこにいるんだい。そんなことより、さっさと風呂を沸かしてきておくれ」
体よくアニータに追い出され、ようやく室内は静かになった。
――だいぶやんちゃだが、兄貴に憧れているのは本当みたいだな……。
アクセルにも、その気持ちはよくわかる。今も早く兄に追い付きたくて、がむしゃらに鍛錬しているところだ(それでも、未だに追い付けている気がしないが)。
あのアーダンとやらも、兄・アロイスを目標に強くなろうとしているに違いない。微笑ましいというか、親近感が湧く。
「それで、アロイスは元気でやってるのかい?」
アニータが母親らしいことを聞いてきた。
「あの子ときたら、最近は全然顔を見せてくれなくてねぇ……。手紙ひとつ寄越さないし、どうしちゃったもんだか。あんた達、あの子に会ったら『たまには顔を見せに来い』って言っておいてくれ」
「え、ええ……わかりました」
そう言ったものの、自分の母親に会うことは禁止されているのだが。
――というかこのお母さん、アロイスがヴァルハラにいるって知らないのかな……。
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あのアーダンとやらも、兄・アロイスを目標に強くなろうとしているに違いない。微笑ましいというか、親近感が湧く。
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