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第15章~些細なすれ違い~

第86話

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「あ、兄上?」
「とりあえず、シャワー浴びて落ち着こうか。お前は動揺すると意味不明なことを言いがちだからね。一度冷静になって、出てきた時にまだそういう気分だったら、私のベッドに入って待っておいで」
「あ、はい……わかりました……」

 そのまま兄は脱衣所を出て行く。

 残されたアクセルは、バサッと服を脱いで浴室に入った。未だに頬が熱かったので、あえて冷水を頭から被ることにした。

 ――ああもう……今日の俺、恥ずかしいことしまくってる……。

 言動も恥ずかしければ、未熟な自分の精神も恥ずかしい。兄からすれば「何でそんなことで悩んでいるんだろう」と呆れる案件だろう。いや、実際呆れられていたのだが。

「……どうしたらもっと強くなれるんだ……」

 鍛錬はしているので、腕っぷしは……少しずつ強くなっているように思う。

 でも小さなことでウジウジ悩んでしまう性格は、そう簡単には治らない。兄はこんなに自分のことを愛してくれているのに、肝心の自分がこんな有様では申し訳なさすぎる。

 ――それもこれも、自分に自信がないことが原因か……。

 冷水を浴びていたらだんだん寒くなってきたので、少しずつ温度を上げていった。

 それと同時に頭も冷静になってきたので、「だけど」と考え直す。

 ――俺が自信を持てないままじゃ、愛情を注いでくれる兄上に失礼なんじゃないか……?
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