転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第15章~些細なすれ違い~

第71話

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「へえ、これが……」

 もらったスプーンで中をかき混ぜ、具の有無を確かめてみた。

 豆がごろごろ入っているのかと思いきや、出てくるのは刻んだニンジンや玉ねぎばかりで、豆らしい豆は入っていない。それでも豆の味はするから、豆を潰してペースト状にし、それを豆乳で伸ばして丁寧にこしているみたいだった。

 美味しいことは美味しいが、いざ作ろうとしたらかなりの時間と手間がかかりそうである。

「……アロイスめ、本当に豆のスープが飲みたいならここに来た方が早いんじゃないか?」
「まあそこは、誰かに作ってもらいたかったのかもよ? お祝いだと思って作ってやれば?」
「うん……一応チャレンジはしてみるけどな。念のために、店主からレシピ教えてもらっておいた方がいいかもしれない」

 材料や作り方を間違えて、全然違うものを作ってしまったら困るし……などと考えていると、

「おや。お前、こんなところで何してるの?」
「ふぁッ!?」

 いきなり後ろから兄に話しかけられ、びくっと肩が震えた。あまりに驚いたので、飲んでいたスープを噴きそうになった。

「あ、あ、兄上!? なんでここに……」
「なんでって、市場で買い物するって言ったじゃない。市場ってすぐそこだし」
「そ、そうだな……」
「そんなことより、お前はなんでここにいるの? 家で鍛錬してるんじゃなかったっけ?」
「え、あ、いや……これは、その……」

 そう問われ、だらだらと冷や汗が出てくる。
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