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第15章~些細なすれ違い~
第65話
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兄が買い物カゴを手にしつつ、庭に降りてくる。
家にはまだ十分すぎるくらい食材が残っていたのに……一体何を作るつもりなんだろう。そんなにたくさん作ってくれても食べきれないのだが。
「ええと……まあ、ほどほどにしてくれ」
「わかってるよ。……あ、太刀筋矯正は捗ってる? ちょっと成果を見せてくれない?」
「ああ、わかった」
アクセルは二刀小太刀を構え、シュッシュッと勢いよく柱の間に振り下ろした。右は問題なく、左も少し柱に掠ったがほぼ真っ直ぐ振り下ろすことができた。
「おお、いい感じじゃない。じゃ、今度は三センチに挑戦ね。頑張れー」
そう言って、兄は颯爽と家を出て行った。無駄に足取りが軽く、どこかウキウキしているようだった。弟をお祝いするのがそんなに楽しみなのか……。
――まあ、祝ってくれるだけありがたいかな。
ちょっと苦笑し、アクセルは太刀筋矯正の素振りを続けた。
そのまましばらく素振りをしていたら、
「あ、アクセル。本当に鍛錬してるなんて、真面目だねー」
庭にチェイニーが入ってきた。先程会ったばかりだが、今度は一体何の用だろう。
「どうしたんだ? 兄上に何か用か?」
「いやいや、フレイン様に用なんかないって。予定表を渡し忘れてたから、郵便ポストに入れとこうと思っただけさ。でもアクセルがいるなら、直接渡した方が確実だと思って」
「ああ、そういうことか。ありがとう、いろいろすまないな」
家にはまだ十分すぎるくらい食材が残っていたのに……一体何を作るつもりなんだろう。そんなにたくさん作ってくれても食べきれないのだが。
「ええと……まあ、ほどほどにしてくれ」
「わかってるよ。……あ、太刀筋矯正は捗ってる? ちょっと成果を見せてくれない?」
「ああ、わかった」
アクセルは二刀小太刀を構え、シュッシュッと勢いよく柱の間に振り下ろした。右は問題なく、左も少し柱に掠ったがほぼ真っ直ぐ振り下ろすことができた。
「おお、いい感じじゃない。じゃ、今度は三センチに挑戦ね。頑張れー」
そう言って、兄は颯爽と家を出て行った。無駄に足取りが軽く、どこかウキウキしているようだった。弟をお祝いするのがそんなに楽しみなのか……。
――まあ、祝ってくれるだけありがたいかな。
ちょっと苦笑し、アクセルは太刀筋矯正の素振りを続けた。
そのまましばらく素振りをしていたら、
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庭にチェイニーが入ってきた。先程会ったばかりだが、今度は一体何の用だろう。
「どうしたんだ? 兄上に何か用か?」
「いやいや、フレイン様に用なんかないって。予定表を渡し忘れてたから、郵便ポストに入れとこうと思っただけさ。でもアクセルがいるなら、直接渡した方が確実だと思って」
「ああ、そういうことか。ありがとう、いろいろすまないな」
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