転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第14章~新しいバトル~

第123話

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 そんな風に言われ、不覚にもキュンとしてしまった。

 戦っていない時はつい忘れそうになるが、戦士エインヘリヤルはもともと戦うためにヴァルハラに招かれた強者たちである。生きることは戦うことであり、命懸けの戦いを繰り広げることは自分たちの責務なのだ。

 死ぬことを恐れずに戦い、最期の瞬間まで命を燃やし尽くす。そうして生み出されるエネルギーを周囲に撒き散らし、己の存在価値と共に観客にも興奮を与える。

 それこそが戦士エインヘリヤルの本懐。オーディンの眷属としての誇りなのだ。

「……兄上」

 アクセルは後ろから兄に抱きついた。そして耳元で訴えかけた。

「俺、早く兄上と死合いたい。公式の死合いで、本気で斬り合いたい」
「そうだね、私も早くお前と死合いたいよ」
「俺、頑張ってもっとランク上げるよ。いろんなことがあって忘れがちになるけど、本当はもっと強くならなきゃいけないんだ。こんなところで足踏みしている場合じゃない。兄上と対等に死合えるようになるまで、努力し続けなくては」
「ふふ、そうかい? じゃあ、その日を楽しみにしているね」

 軽くぽんぽんと頭を撫でられ、より一層胸がキュンとなった。

 兄と死合いたいと願い続けて何年経ったかわからない。

 けれど、そろそろ本格的に夢を叶えてもいい時期だ。様々な経験をして、アクセル自身も少しは強くなった。もうヴァルハラに来たばかりの頃とは違うのだ。

 アクセルは少しだけ唇を尖らせた。
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