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第14章~新しいバトル~
第121話
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「それにしてもお前、よく生き残ったね? 正直、お兄ちゃんはもうダメかと思ってたよ」
「それは……兄上が『お前が棺行きになったら寂しくて浮気しちゃうかも』なんて言うから」
「ありゃ、そんなこと言ったっけ?」
「言っただろ、思いっきり! 試合中にもアイコンタクトで心の声が聞こえてきたよ!」
「……え、本当に?」
「本当だよ。だいたい兄上だぞ、『ランゴバルトを倒せないなら別の方法で試合を終わらせるまでだ』って教えてくれたのは」
「えっ……?」
兄が少し言葉を失っていたので「あれ?」と思った。
「アイコンタクトで心の声? 何それ? 試合中に私と会話したってこと?」
「そうだよ。どうすればわからなくなって兄上を見上げたら、『もう諦めちゃうのか』って声が聞こえてきて……」
「ええ? 本当に? 私にはそんなテレパシーみたいな能力ないんだけどな」
「で、でも本当に聞こえたんだよ。周りの音が全て消えて、俺と兄上だけみたいな瞬間があって、それでしばらく会話して……」
言っているうちに、自分でもよくわからなくなってきた。
冷静に考えれば、そんなこと起こるはずがない。兄は「私にそんな能力はない」と言っているし、もちろん自分だってエスパーのような能力とは無縁だ。
となれば、「困った時の兄頼み」を頭の中で勝手に繰り広げ、さも本当に会話があったかのように錯覚してしまったのかもしれない。生きるか死ぬかの極限状態だったから、余計に思考と現実の境が曖昧になってしまったのだろう。
「それは……兄上が『お前が棺行きになったら寂しくて浮気しちゃうかも』なんて言うから」
「ありゃ、そんなこと言ったっけ?」
「言っただろ、思いっきり! 試合中にもアイコンタクトで心の声が聞こえてきたよ!」
「……え、本当に?」
「本当だよ。だいたい兄上だぞ、『ランゴバルトを倒せないなら別の方法で試合を終わらせるまでだ』って教えてくれたのは」
「えっ……?」
兄が少し言葉を失っていたので「あれ?」と思った。
「アイコンタクトで心の声? 何それ? 試合中に私と会話したってこと?」
「そうだよ。どうすればわからなくなって兄上を見上げたら、『もう諦めちゃうのか』って声が聞こえてきて……」
「ええ? 本当に? 私にはそんなテレパシーみたいな能力ないんだけどな」
「で、でも本当に聞こえたんだよ。周りの音が全て消えて、俺と兄上だけみたいな瞬間があって、それでしばらく会話して……」
言っているうちに、自分でもよくわからなくなってきた。
冷静に考えれば、そんなこと起こるはずがない。兄は「私にそんな能力はない」と言っているし、もちろん自分だってエスパーのような能力とは無縁だ。
となれば、「困った時の兄頼み」を頭の中で勝手に繰り広げ、さも本当に会話があったかのように錯覚してしまったのかもしれない。生きるか死ぬかの極限状態だったから、余計に思考と現実の境が曖昧になってしまったのだろう。
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