1,452 / 2,678
第13章~獣化の秘密~
第91話
しおりを挟む
「つ、次に行こうか。こんなところにいたら息苦しくなりそうだ」
「えー、もう行くの? この部屋見たことないから一周してきたいんだけど」
「一周も何も、何もないんだから走ったって収穫はないん……って、おい!」
アクセルの言葉を無視し、ミューは右回りに壁沿いをタタタ……と走り始めた。まったく、本当にマイペースなヤツだ。
置いていくわけにもいかず、アクセルは扉の近くで走っていくミューを眺めた。
――しかしこの施設、やっぱり普通の建物じゃないんだな……。
獣化の治療を行う場所だから、一般的な病院みたいな施設かと思ったら全然違った。室内に海があるのもそうだし、同じような扉が全く違う場所に繋がっているのも不思議だった。職員と誰一人遭遇せず、患者らしき人が誰もいないのも気になった。不気味ですらある。
――何事もなく帰れればいいけど……。
兄の現状を知りたい一心でここまで来たが、本当に忍び込んでよかったかどうかはまだわからない。未知の部分が多すぎて、これから先何が待ち受けているか想像できなかった。
今はこれといった事件は起きていないけれど、平和に帰宅するのは難しいかもしれない……。
「……あっ」
その時、唐突にミューが小さな声を上げた。
次の瞬間、白い壁がパタンと開き、吸い込まれるようにミューが壁の中に消えてしまった。
「えー、もう行くの? この部屋見たことないから一周してきたいんだけど」
「一周も何も、何もないんだから走ったって収穫はないん……って、おい!」
アクセルの言葉を無視し、ミューは右回りに壁沿いをタタタ……と走り始めた。まったく、本当にマイペースなヤツだ。
置いていくわけにもいかず、アクセルは扉の近くで走っていくミューを眺めた。
――しかしこの施設、やっぱり普通の建物じゃないんだな……。
獣化の治療を行う場所だから、一般的な病院みたいな施設かと思ったら全然違った。室内に海があるのもそうだし、同じような扉が全く違う場所に繋がっているのも不思議だった。職員と誰一人遭遇せず、患者らしき人が誰もいないのも気になった。不気味ですらある。
――何事もなく帰れればいいけど……。
兄の現状を知りたい一心でここまで来たが、本当に忍び込んでよかったかどうかはまだわからない。未知の部分が多すぎて、これから先何が待ち受けているか想像できなかった。
今はこれといった事件は起きていないけれど、平和に帰宅するのは難しいかもしれない……。
「……あっ」
その時、唐突にミューが小さな声を上げた。
次の瞬間、白い壁がパタンと開き、吸い込まれるようにミューが壁の中に消えてしまった。
0
お気に入りに追加
830
あなたにおすすめの小説
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる