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第13章~獣化の秘密~

第52話

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 確かに、ほとんどの戦士は身内がいないことが当たり前である。兄弟揃ってヴァルハラにいて、かつ一緒に暮らしているのは今のところアクセルとフレインだけだ。

 だから、グロア側も定期連絡をするという発想自体ないのかもしれない。

 とはいえ、アクセル側からすると兄の近況は絶対に知りたいところである。向こうが教えてくれないなら、こちらから聞きに行くしかないのかもしれない。

 ――こうなったら、一度施設を訪問するか……。

 門前払いされてもいい。とりあえず顔だけは出してこよう。例え兄に会えなくても、今どんな状況なのかは聞き出すことができる。

「ピピ。俺、今日グロアの隔離施設に行ってくるよ。やっぱり、何もわからないってのはこっちも不安になるし……様子だけでも窺ってくる」
「ぴ……」
「大丈夫だよ、無理に忍び込むようなことはしない。面会できたら嬉しいけど、そこまでの贅沢は言わないよ。兄上の治療の妨害になったら困るしな」

 ピピはちょっと疑わしそうに首をかしげていたが、「夕方までには帰ってくるから」と言ったら納得したように頷いてくれた。

 朝食を片付け、洗濯物を外に干してから早速家を出る。世界樹ユグドラシルを通って行けば、隔離施設まであっと言う間だ。さほど急ぐこともないが、もしかしたら兄に会えるかも……と思うと、自然と早足になる。
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