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第13章~獣化の秘密~
第16話
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「……!」
あれこれ考えていたら、突然ガタッと音がしてアクセルは顔を上げた。
再び我慢できない眠気が襲ってきたのか、兄はナイフを持ったままテーブルに突っ伏していた。危うくスープ皿に顔を突っ込みそうになっていたので、慌てて熱いものを遠ざけ兄を抱き起こす。
「兄上、大丈夫か? また眠気が襲ってきたのか?」
「う……ん……」
「いいよ、無理しなくて。今ベッドに連れて行ってやるから、後のことは……」
そう言った途端、兄は手探りで近くのフォークを掴み、大きく振りかぶって自分の手に突き刺そうとした。
さすがにぎょっとして、慌てて兄の腕を掴んで止める。
「ちょ、兄上ダメだ! また怪我してしまうぞ!」
「う……うう……」
「食べ物なら目の前にいっぱいあるだろ? もう腕を食べるのはやめてくれ!」
力ずくでフォークを取り上げ、一度食事テーブルから遠ざける。せっかく食事を用意したのに、何故また腕を切ろうとするのか。もう二度とあんなことさせたくないのに。
「とにかく一度落ち着こう! 今度は兄上の好物をいっぱい作っておくから、な?」
意識朦朧としている兄をずるずると引っ張り、寝室に連れて行く。掴めるものがなくなったせいか、暴れかけていたのが嘘のようにおとなしくなった。
そのまま兄を抱きかかえ、ベッドに寝かせる。きちんと布団をかけ、乱れた金髪を軽く整えながら、アクセルは言った。
あれこれ考えていたら、突然ガタッと音がしてアクセルは顔を上げた。
再び我慢できない眠気が襲ってきたのか、兄はナイフを持ったままテーブルに突っ伏していた。危うくスープ皿に顔を突っ込みそうになっていたので、慌てて熱いものを遠ざけ兄を抱き起こす。
「兄上、大丈夫か? また眠気が襲ってきたのか?」
「う……ん……」
「いいよ、無理しなくて。今ベッドに連れて行ってやるから、後のことは……」
そう言った途端、兄は手探りで近くのフォークを掴み、大きく振りかぶって自分の手に突き刺そうとした。
さすがにぎょっとして、慌てて兄の腕を掴んで止める。
「ちょ、兄上ダメだ! また怪我してしまうぞ!」
「う……うう……」
「食べ物なら目の前にいっぱいあるだろ? もう腕を食べるのはやめてくれ!」
力ずくでフォークを取り上げ、一度食事テーブルから遠ざける。せっかく食事を用意したのに、何故また腕を切ろうとするのか。もう二度とあんなことさせたくないのに。
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